共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

無反跳反応で探る核子対凝縮相の素励起モード

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H01928
体系的課題番号
JP20H01928
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
16,900,000円
(直接経費)
13,000,000円
(間接経費)
3,900,000円

自然界に存在する豊かな物質は、多様な「相」により生み出されており、その発現機構を探るのは物質科学の重要な目的の一つである。このような例のうち、原子核の核子対凝縮では、発現すれば現れるはずの2種類の素励起モードのうち、1つが実験的に確立していないという根本的な問題を抱えている。本研究の目的は、残る1つのモードである「対振動」の存在を確定することである。初年度である本年度は、本格的な実験に向けた以下の研究を行った。
(1) 反応プローブの決定
本研究目的のためには対振動モードを高効率で励起させる優れた反応プローブが必須である。このようなプローブとして(4He,6He)反応に着目した。歪曲波ボルン近似計算によりこの反応の反応機構を調べたところ、6He内の中性子対の弱束縛性が反応の際の運動学条件を向上させ、従来の(p,t)反応よりも対振動に対して高い感度を持つことが分かった(計算によると感度は一桁以上あがる)。この結果から、この反応を対振動に対する新たなプローブとして用いることに決定した。
(2) 実験の実施
(1)の結果を受け、東北大CYRICにて、120Sn標的に対して(4He,6He)反応を起こし、118Snの対振動モードを探索する実験を行った。データ解析の結果、励起エネルギー13MeV付近に従来の反応では見えなかったピークを観測することに成功した。ピーク位置は最新の理論計算で予測される高励起対振動モードの位置と一致しており、また反応の角度分布も理論計算とよく一致した。このことから、観測されたピークは対振動モードの有力な候補といえる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H01928
ID情報
  • 課題番号 : 20H01928
  • 体系的課題番号 : JP20H01928