講演・口頭発表等

2020年2月22日

ローテーティングヒンジ型人工膝関節を用いた再置換術後患者の立脚初期における歩行解析

第50回日本人工関節学会
  • 大見武弘
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  • 山田拓実
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  • 美﨑定也
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  • 島村亮太
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  • 田澤智央
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  • 加藤淳平
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  • 杉本和隆

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
開催地
福岡市

【目的】世界的に多く用いられているCruciate Retaining (CR)を用いて初回total knee arthroplasty(TKA)を受けた患者と比較することで、Rotating hinge knee(RHK)を用いて再置換術を受けた患者の歩行中の立脚初期での運動学・運動力学的特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は人工膝関節の緩みによりRHKを用いて再置換術を受けた患者6名6膝(RHK群)であった。対照群は初回片側TKA群5名5膝(uniCR群)と初回両側TKA群15名30膝(bilCR群)とした。対象の骨盤と両下肢にポイントクラスタ法に準じ反射マーカーを56個貼付し、三次元動作解析装置 VICON NEXUS(赤外線カメラ10台)とKislar社製床反力計4枚を用いて、快適歩行を計測した。VICONから得られたデータを、筋骨格モデル作成ソフト(Musculo Graphics社製)に取り込み、立脚初期の脛骨前方変移量と膝回旋角度変化量を算出した。これらの値を、一元配置分散分析を用いて3群間で比較した。
【結果】立脚初期の脛骨前方変移量はRHK群、uniCR群およびbilCR群でそれぞれ1.5±0.5mm、1.4±2.2mm、1.4±2.2 mm、膝関節回旋量はそれぞれ0.5±1.6°、1.9±2.2°、0.7±2.1 °であった。立脚初期の脛骨前方変移量と膝関節回旋量に統計学的有意差はなかった。
【考察】Nex Gen RHKは前後変移量を少なくし、脛骨の回旋を許容するというコンセプトで開発された。過去の報告と比較して本研究のRHK群の脛骨回旋量と脛骨前方変移量は過去の報告より小さかったが、本研究の対照群とは統計学的差はなかった。本研究の結果からRHKの開発コンセプトを示す一助となった。
【結論】脛骨の回旋を許容し前後変移量を少なくするというコンセプトで開発されたRHKを用いた再置換群は、対照群と比較して脛骨前方変移量と回旋角度変化量の違いはなかった。