祖国

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国立大学の若手教員率

 国立大学の任期なし教員数の変遷を、一覧表にプロットしてみた。

  教員総数
/前年比
うち
40歳以上
うち
40歳未満
若手の割合
平成19年度
(2007年度)
46,630名  35,816名  10,814名  23.19% 
平成20年度
(2008年度)
(45,418名)
-1,212名)
(35,404名)
(-412名)
(10,014名)
(-800名)
(22.05%)
平成21年度
(2009年度)
44,207名 
-1,211名)
34,993名 
(-411名)
9,214名 
(-800名)
20.84% 
平成22年度
(2010年度)
(43,141名)
(-1,066名)
(34,619名)
(-374名)
(8,522名)
(-692名)
(19.75%)
平成23年度
(2011年度)
(42,075名)
(-1,066名)
(34,245名)
(-374名)
(7,830名)
(-692名)
(18.61%)
平成24年度
(2012年度)
41,010名 
(-1,065名)
33,872名 
(-373名)
7,138名 
(-692名)
17.41% 
平成25年度
(2013年度)
41,665名 
+655名 
34,560名 
+688名 
7,105名 
-33名
17.05% 
平成26年度
(2014年度)
41,803名 
+138名 
34,901名 
+341名 
6,902名 
-203名
16.51% 
平成27年度
(2015年度)
41,718名 
-85名
35,035名 
+134名 
6,683名 
-219名
16.02% 
平成28年度
(2016年度)
41,393名 
-325名
35,123名 
+88名 
6,270名 
-413名
15.15% 
平成29年度
(2017年度)
41,199名 
-194名
35,392名 
+269名 
5,807名 
-463名
14.10% 

※出典:https://www.mext.go.jp/content/20210720-mxt_soseisk01-000016965_1-3.pdf
※括弧内は前後の年度の平均などによる推計

 全体の23.2%だった40歳未満の教員の割合が、わずか10年間で14.1%にまで低下している。

 教員の全体数は10年間で5,431名(11.6%)の減だが、40歳以上の教員が35,816名から35,035名へのわずか424名(1.2%)の減少にとどまっているのに対し、40歳未満の教員は10,814名から5,807名へと、10年間で5,007名(46.3%)も減少している。

 端的に示そう。

  40歳以上 40歳未満 教員総数 若手の割合
2007年度 35,816名 10,814名 46,630名 23.19%
2017年度 35,392名 5,807名 41,199名 14.10%
減少 -424名 -5,007名 -5,431名 -9.09pt
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支出志向が高まるとエンゲル係数は上がる

第196回国会(参議院)予算委員会 第2号(平成30年1月31日)

○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。

 まず、安倍総理にお尋ねいたしますが、アベノミクス、五年たちました。(資料提示)実質賃金、そのアベノミクスが始まってから大体五ポイントぐらい下がっています。足下で微増していますが、下がっている状態には変わりない。あるいは、家計調査の消費支出も落ち込んでいる。生活の豊かさを示すエンゲル係数は顕著に上がっているという状況でありまして、こうした統計から明らかに言えることは、アベノミクスによって国民生活は苦しくなったというふうになっておりますが、この点について、まず総理の所感をお伺いいたします。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) アベノミクスにより、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。

 実質賃金については、二〇一六年に前年比プラスとなった後、二〇一七年に入ってからおおむね横ばいで推移をしております。

 また、名目賃金で見れば、賃上げは中小企業を含め今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現し、多くの企業で四年連続のベースアップを実施しています。パートで働く方々の時給は統計開始以来最高の水準となっており、最近では二%以上の増加となっています。正規の方、非正規の方、それぞれで所得環境に改善が見られ、二〇一四年春以降増加傾向にあるわけでありまして、名目賃金で見ますと、推移で見ますと、我々、政権交代前の民主党政権時代ではマイナスであったものが、安倍政権下ではプラスとなっております。

 さらに、雇用者数の増加を加味した国民みんなの稼ぎである総雇用者所得を見ると、名目で見ても実質で見ても、二〇一五年七月以降、前年比プラスが続いています。

 税や社会保障負担等を差し引いた家計の可処分所得も、名目でございますが、雇用・所得環境の改善等を背景に三年連続で増加をしています。

 そして、そこでお示しの世帯当たりの消費を捉える家計消費は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっています。国全体、一国全体の消費を捉えるGDPベースでは二〇一五年度、二〇一六年度と二年連続で増加となっております。

 また、このエンゲル係数についてでありますが、二人以上の世帯のエンゲル係数は二〇〇五年を底に上昇傾向にありますが、これは物価変動のほか、食生活や生活スタイルの変化が含まれているものと思います

 いずれにせよ、アベノミクスを通じて経済の好循環を加速させていきたいと思っておりますし、やはり一番大切なことは、ちゃんと働く場があってみんなが仕事に就けるという状況ではないかと思うわけでありますが、昨日発表されました有効求人倍率を見ますと一・五九でございまして、これ四十三年と十一か月ぶりの高い水準となっておりますし、正規の雇用については一・〇七となっておりまして、これは統計開始以来最高の数値となっていると承知をしております。

○小川敏夫君 安倍総理ね、いつもの決まり文句の話で、結局、良くなった良くなったと言うんだけれども、しかし、国が行った統計調査ではっきり生活は悪くなっているということが出ているんですよ。

 例えば、生活実感を一番表すエンゲル係数。総務大臣、このエンゲル係数、あるいはこのエンゲル係数を調査している意義について御説明いただけませんでしょうか。

○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。

 エンゲル係数は、消費支出に占める食料費の割合、国民の消費生活の現状を示す一つの指標となっています。世帯における消費や収入など家計収支の実態を毎月明らかにするために、総務省では家計調査を毎月実施しているところです。この家計調査において、一世帯当たり食料の金額を消費支出の金額で割ることによりエンゲル係数を把握しています。

 総理も今お答えになりましたけれども、エンゲル係数につきましては、御指摘のように豊かさということもありますけれども、経年変化の中には、物価変動だけではなくて、例えば共働き世帯が増えると、調理食品、いわゆる価格の高いものを購入したりとか、また高齢世帯が増えますと、おのずと食料費以外の支出が減少するということでエンゲル係数は上昇すると、様々考えられています。

 平成二十八年のエンゲル係数が上昇した背景というのは、生鮮食品の価格高騰などの物価上昇がありましたし、また今申し上げたような調理食品や飲料、乳卵類などの食料への支出志向が高まっているということが考えられています。

 ちなみに、二十九年のエンゲル係数は、最新の暫定値では二五・七%と、前年に比べ〇・一ポイント下がっているところです。

 以上です。

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年度の途中で元号が変わった場合の対応例

通常、4月から3月までの「年度」には、その年の4月から12月までと、翌年の1月から3月までの「2つの年」が含まれる。

しかし4月から12月までの間に改元があれば、新元号の元年は12月末で終わり、1月からは新元号の2年となる。この場合、4月から3月までの「1つの年度」に、旧元号の末年、新元号の元年、新元号の2年という「3つの年」が含まれることになる。

もちろん、1月から3月までの間に改元があっても、「1つの年度」に「3つの年」が含まれることになるのだが、ここに微妙な相違がある。

たとえば「大正十五年度」は大正15年4月からだが、12月25日に昭和に改元された。この昭和元年は12月31日に終わり、1月からは昭和2年となった。大正15年の翌年は昭和2年で、「昭和元年4月1日」は存在しない。「大正十五年度」は「大正15年のうち4月以降」「昭和元年の全て」「昭和2年のうち3月31日まで」という「3つの年」を含む。そして、「大正十五年度」の翌年度は当然「昭和二年度」となるのだが、

「大正十四年度」→「大正十五年度」→「昭和二年度」

という並びは具合が悪い(らしい)。

これを解決するために「大正十五年度」を抹殺して

「大正十四年度」→「昭和元年度」→「昭和二年度」

とする手もありそうだが、現実には

「大正十四年度」→「大正十五・昭和元年度」→「昭和二年度」

として解決された。

大正十五・昭和元年度

大正十五・昭和元年度

大正十五・昭和元年度

改元が1月から3月までの間であれば、この問題は生じない。

たとえば「昭和六十三年度」は昭和63年4月からで、翌年1月には昭和64年となった。昭和64年は1月8日に平成元年となったが、平成元年の4月1日は存在し、「昭和六十三年度」は「昭和63年のうち4月以降」「昭和64年の全て」「平成元年のうち3月31日まで」となる。こちらの場合は

「昭和六十三年度」→「平成元年度」→「平成二年度」

と並ぶので問題ない(らしい)。

ところで平成は4月末に終わり5月から新元号となる。上のルール(?)によれば、

「平成三十年度」→「新元号元年度」→「新元号二年度」

「平成三十年度」→「平成三十一年度」→「新元号二年度」

ではなく

「平成三十年度」→「平成三十一・新元号元年度」→「新元号二年度」

となる筈だ。

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「私人」に対する公用旅券の発行(第193回国会)

内閣総理大臣夫人の政府専用機の使用に関する質問主意書

一 平成二十九年二月、安倍総理夫妻は政府専用機に搭乗して訪米したと承知しているが、この訪米時、内閣総理大臣夫人は公用旅券の発給を受けそれを使用したのか。あるいは一般の旅券を使用したのか。見解を示されたい。 内閣総理大臣の外遊への内閣総理大臣の夫人の同行に際しては、国の用務のため外国に渡航する者として、旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第五条の二の規定に基づき、同条に規定する公用旅券である外交旅券を発行しており、内閣総理大臣の夫人は当該外交旅券を使用している。
二 過去五年間に内閣総理大臣夫人に公用旅券が発給されたことはあるか。
三 内閣総理大臣夫人に公用旅券が発給されるとすれば、どのような法令上の根拠に基づくのか。
四 総理大臣の外遊時に記者等の私人が政府専用機に同行して搭乗する場合、国有財産使用許可申請と航空運賃の支払が求められるが、「公人ではなく私人である」内閣総理大臣夫人が総理大臣の外遊に同行する場合、かかる申請はなされ、航空運賃の支払は行われているのか。内閣総理大臣の外遊への内閣総理大臣の夫人の同行は、内閣総理大臣の公務の遂行を補助するため、政府からの依頼により行われるものであり、内閣総理大臣の夫人が当該同行に際して政府専用機に搭乗する場合、国有財産使用許可申請は不要であり、通常の航空運賃に相当する額の使用料は徴収していない。
五 平成二十九年二月、内閣総理大臣夫人は政府専用機に搭乗して訪米したと承知しているが、この訪米時に内閣総理大臣夫人は航空運賃を支払ったのか。支払ったとすれば、その支出はどこからなされたのか。

安倍昭恵内閣総理大臣夫人に発給された外交旅券に関する質問主意書

一 平成二十六年度以降の年度ごとの外交旅券の発給実績はどのようなものか。お尋ねについては、暦年ごとに把握しており、平成二十六年は三千六百七十八件、平成二十七年は三千八百十二件、平成二十八年は三千八百五十一件の外交旅券を発行している。
二 一に関連して、国家公務員の身分を有しない者、いわゆる私人に対する「公用旅券である外交旅券」の発給実績はどのようなものか。お尋ねの「国家公務員の身分を有しない者、いわゆる私人に対する「公用旅券である外交旅券」の発給実績」については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
三 第一次安倍政権以後、歴代の内閣総理大臣夫人に対して、「公用旅券である外交旅券」が発給された事実はあるか。具体的に示されたい。お尋ねの全ての内閣総理大臣の夫人に対して、外交旅券を発行している。
四 鈴木答弁書によれば、「外交旅券については、一般に、外務公務員等が国の用務により渡航する場合に発給される」ことが要件とされているが、国家公務員の身分を有しない安倍昭恵さんはどのような法的根拠に基づき、「公用旅券である外交旅券を発行」しているのか。お尋ねについては、先の答弁書(平成二十九年三月二十八日内閣衆質一九三第一三二号)一から三までについてでお答えしたとおりである。
五 私人である安倍昭恵さんに「公用旅券である外交旅券を発行」することは、鈴木答弁書で示された政府見解が修正された結果であるという理解でよいか。

安倍昭恵内閣総理大臣夫人に発給された外交旅券に関する再質問主意書

一 答弁書でいう「平成二十六年は三千六百七十八件、平成二十七年は三千八百十二件、平成二十八年は三千八百五十一件の外交旅券を発行」されている者は、旅券法第四条の「公用旅券の発給の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては公用旅券の発給を受けようとする者が最寄りの領事館に出頭の上領事官に、次に掲げる書類及び写真を提出してするものとする」でいうところの「公用旅券発給請求書」を提出して発行されたものであるという理解でよいか。お尋ねの外交旅券は、全て旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)に基づき発行したものである。
二 一について、公用旅券発給請求書を提出せずに「公用旅券である外交旅券」が発行されている者はいないという理解でよいか。お尋ねの外交旅券は、全て旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)に基づき発行したものである。
三 一について、公用旅券発給請求書には官職コードおよび官職名を記入しなければならないが、かかる事項が公用旅券発給請求書に記入できない、国家公務員やそれに準ずる身分(例えば国立大学法人の教員など)にないものの申請数はどの程度か。お尋ねの「国家公務員やそれに準ずる身分(例えば国立大学法人の教員など)にない」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
四 安倍昭恵さんの外交旅券の発行に関しても、公用旅券発給請求書が提出されているのか。お尋ねの外交旅券は、全て旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)に基づき発行したものである。
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行政府の長

第190回国会 衆議院 予算委員会 第3号 平成28年1月12日
○安倍内閣総理大臣 私は行政府の長でありまして、基本的には、三権分立の中において、議会においては議会で決めていただきたい、こう思うわけでございます。(発言する者あり)
 丸川大臣について、今やじがございましたが、丸川大臣については、まさに丸川さんは、閣僚の一員として答えたのではなくて、議員として質問に答えたんだろう、こう思うわけでありまして、閣僚としての意見につきましては、まさにこれは政府のことについてしか当然答えることはできないわけでありますから、これは当たり前のことであろう、こう思うわけであります。
 私はまさに総理大臣でありますから、行政府の長であるところである以上、院の運用においては一議員として軽々しくあなたのように答えるわけにはいかないわけでございまして、それはまさに行政府の長として、一議員として今ここで答える必要はないんだろうと私は思うわけであります。
第190回国会 衆議院 予算委員会 第20号 平成28年5月16日
○安倍内閣総理大臣 山尾委員は、議会の運営ということについて少し勉強していただいた方がいいかもわかりません。
 議会については、私は行政府の長であります。国会は国権の最高機関としてその誇りを持って、いわば行政府とは別の権威として、どのように審議をしていくかということについては、各党各会派において議論をしているわけでございます。その順番において私がどうこう言うことはないわけでありますし、TPPの議論においても、国会に一度付託したからには、当然これは国会において、どのように議論していくかということは委員会でお決めになることでありまして、今の御発言は委員会のまさに権威そのものを傷つけているのではないか、このように思います。
第190回国会 参議院 決算委員会 第11号 平成28年5月23日
○足立信也君 民進党の足立信也です。
 まず、同期の小泉委員長、今回で勇退されるということをお聞きしました。非常に誠実な性格で、大変親しくさせていただきました。ありがとうございました。お疲れさまでした。
 十一か月ぶりに総理に質問をいたしますが、先週の発言から、私は一体、安倍総理には立法府の長として質問すればいいんでしょうか。総理。──お聞きになっていないようです。
 先週二度にわたって、立法府の長でありますと、私は。この委員会の質疑で、立法府の長である総理に私は質問をしなきゃいけないんでしょうか。
第190回国会 参議院 外交防衛委員会 第19号 平成28年5月24日
○北澤俊美君 民進党・新緑風会の北澤俊美でございます。
 久方ぶりの委員会質問でありますので、なかなかうまくいくかどうか分かりませんが、両大臣におかれましてはよろしくお願いをいたします。
 まず最初に、安倍総理の私は立法府の長であるという発言について、昨日の決算委員会でどうやら間違っていたようなことを言ったようでありますが、ただこれ、最近立て続けに言ったんじゃなくて、第一次安倍内閣のときも簗瀬議員の質問に対して同じことを言っておるわけですね。
 私は、間違いでしたという話は通用しないと思うんですね。何か、行政府も立法府も全部含めて私は日本国の一番偉い人だと勘違いしている。国会対応なんか見ていても、平気で議場整理に関わるようなことを言ってみたり、あるいは、自分からそういうことを言っておきながら今度は自分からぶつぶつ言ったりやじを飛ばしたり、傲慢な態度が出ている。そういうものがあそこに現れたのではないかなというような気がしております。
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認証評価は運営交付金と無関係

第189回国会 衆議院文部科学委員会 第9号(平成27年5月15日)

○吉川(元)委員 …二〇〇四年に国立大学が独立行政法人化され、来年度から第三期の中期目標期間に入ってくるわけです。文科省としては、ミッションの再定義による国立大学改革プランなど、大学改革に取り組んでいるということは承知をしております。

 その中には、大学の運営費交付金の見直しも含まれており、機能強化に応じた重点支援、あるいは、学長の裁量による経費の配分などが新たに検討されているとも聞いております。

 いずれにいたしましても、運営費交付金の配分に当たっては、中期目標期間における各大学の評価が反映されているというふうに思いますが、この点、認証機関による大学の評価というものは、運営交付金の配分に当たってはどのような役割を果たしているのか。あるいは、今後、配分についてこれを活用していくというようなお考えがあるのか。お聞かせください。

○吉田政府参考人 国立大学法人によります国立大学法人評価、これは、六年間で達成すべき業務運営に関する目標として各国立大学法人ごとに定められました中期目標の達成状況などを、国立大学法人評価委員会が総合的に評価をするというものでございます。

 ただ、このうち教育研究の状況につきましては、六年間の終了時におきまして、教育研究の特性に配慮して、専門的な観点から評価をするため、大学評価・学位授与機構に評価の実施を要請し、その結果を尊重する、こういった仕組みになっております。

 文部科学省では、この国立大学法人評価委員会によります第一期中期目標期間についての総合的な調査結果を踏まえまして、第二期中期目標期間中の、平成二十四年度からの運営費交付金の配分に反映をしているところでございます。

 今年度で終了いたします第二期中期目標期間の評価結果についても、当該評価結果が確定した後、運営費交付金の配分に反映させるということになりますけれども、その具体的な取り扱いにつきましては、国立大学の教育研究の特性や自主性、自律性に十分配慮しつつ、大学の教育研究水準の向上に資するような方向で検討してまいりたいと考えております。

○吉川(元)委員 ちょっともう一度だけ確認させていただきたいんですけれども、認証評価については、これは関係ないということでよろしいんでしょうか。

○吉田政府参考人 認証評価は自己改革を促すためのものでございます。今の運営費交付金の関係は、あくまでも国立大学法人評価委員会の判断でございます。

○吉川(元)委員 今回の法案については反対するものではありませんけれども、国立大学の現状をいいますと、やはり、運営費交付金の増額なくして改革はあり得ないのではないかというふうに私は感じております。

 先ほども質問がありましたけれども、独立行政法人化されて以降、二〇〇四年度の運営費交付金が当時一兆二千四百十五億円ございましたが、今年度、一五年度の予算で見ますと一兆九百四十五億円、千四百七十億円もの減額がされております。率にして一二%。

 また、その配分を見ましても、九十の大学法人がある中で、例えば東京大学一つで全体の七・三%、それから、旧帝大と言われる、北海道大学から始まって九州大学までの七つの大学で三〇%余りの交付金が集中をしているということもございます。

 運営費交付金の対象経費を見ましても、水光熱費などの経費がふえる一方で、人件費を大きく削減せざるを得ないというのが今の国立大学法人の姿でもあります。もちろん、大学の評価や、あるいは、さまざまな競争によって交付金の配分を行うことを全否定するものではありませんけれども、やはりそうしたものを入れる際には、運営費交付金総額の増額があって、その増額の中で行うべきではないかというふうにも私は思います。

 そうでなければ、ただでさえ少なくなるパイといいますか、総額の中で各大学が奪い合いを行い、結果として大学間格差が拡大をしたり、あるいは、運営がこのままいくと立ち行かなくなるような大学も出てくることも考えられます。

 見ておりますと、これは、大学の特質等々にもよりまして一概には言えませんけれども、やはり運営費交付金の少ない大学ほど人件費の占める割合というものも高くなっておりますし、これが削られるということになりますと、やはりそれは、直接人件費が削減をされていくという圧力にもなっていくのではないかというふうにも思います。

 大学改革に当たっては、この運営費交付金全体の増額が不可欠なのではないかというふうに私は考えておりますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

○下村国務大臣 社会経済の高度化、複雑化、グローバル化が進む中で、国立大学は、新しい社会や産業に対応した自己改革を強力に進めていく必要があると思います。現状維持では衰退化してしまうと思います。

 このような取り組みを進めていく上でも、国立大学の多様な教育研究活動の基盤を支える国立大学法人運営費交付金の役割は重要であるというふうに考えます。

 現在、文科省においては、今後の運営費交付金のあり方を検討するとともに、これと並行して、研究成果を持続的に最大化することを目的として、競争的研究費改革、この検討も進めているところであります。

 文科省としては、運営費交付金と競争的研究費の改革を一体的に進めつつ、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えておりますが、各国立大学の強み、特色を生かした教育研究を伸ばしていくためには、また、喫緊の課題である国立大学改革を強力に推進していくためにも、マネジメント改革による学長のリーダーシップの確立、各大学の強み、特色の最大化などの自己改革に積極的に取り組む国立大学に対して、めり張りある重点配分をしていきたいと考えております。

○吉川(元)委員 もう余り時間がありませんが、競争的配分ということについて言わせていただきますと、外部資金の活用も含めてといろいろ言われておりますが、恐らくいろいろな学問の分野があろうかと思います。すぐに産業化に結びつくもの、あるいは、今は生命科学というものが非常に大きな分野になっておりますけれども、実はそうではない学問分野もたくさんございます。

 例えば、特に文科系でいいますと、哲学であるだとかあるいは歴史であるだとか、そういう部分がこのままいくと日本の学問の中で衰退をしていくのではないか。特に、競争的あるいは社会の高度化、グローバル化という中におきましてそこだけが強調されるということになりますと、そういった分野が逆に小さくなってしまうのではないかという危惧も持っております。

 また、これは次回以降質問させていただきますけれども、研究不正の温床になる一つの大きな原因がまさにこの競争的な配分ということ、これは日本国内だけではなくて、世界的に見てもその温床になっているということも指摘をされております。

 ぜひ、全体のパイを大きくした上で、その中で配分を重点化していくということも含めて考えていただきたいということを訴えまして、私の質問とさせていただきます。

 以上で終わります。

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国立大学での国旗掲揚・国歌斉唱は「行政指導」

第189回国会 衆議院 文部科学委員会 第4号(平成27年4月15日)

○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、少しこの委員会でも話題になりましたが、国立大学での国旗掲揚、国歌斉唱について伺いたいと思います。

 大臣は先週十日の会見で、国立大学における国旗掲揚、国歌斉唱について、各大学で適切な対応がとられるよう要請していきたいという旨の発言をされたと報道されております。昨日、質問をつくっている時点で会見のテキスト版がまだ出ておりませんでしたので、詳細な内容、言い回し等々はわかりませんが、先日の参議院の予算委員会でも同趣旨の御答弁をされておられます。

 周知のように、国旗・国歌法の制定の際の審議で当時の小渕総理も、国旗掲揚等に義務づけを行うことは考えていないと答弁されると同時に、憲法で保障された良心の自由について、内心について国家はそれを制限したり禁止したりすることはできないと答弁されております。要するに、義務化や強制はできない、そういうことだろうというふうに思います。

 一方、小中高につきましては、学習指導要領で、入学式、卒業式に当たっては国旗掲揚、国歌斉唱を「指導するもの」とされていることは承知をしております。私自身はこのことについては強い違和感というのを持っておりますが、ただ、大学においては、もちろんこれは学習指導要領などというようなものは存在をしておりません。

 だとしたら、今回の、要請とはいえ、国立大学に国旗掲揚、国歌斉唱を求める根拠というものは一体どこにあるのかをまず尋ねます。

○吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省は、文部科学省設置法第四条第十五号の規定によりまして、「大学及び高等専門学校における教育の振興に関する企画及び立案並びに援助及び助言に関すること。」を所掌事務としております。今回の要請も、この所掌事務の範囲内で行うものでございます。

○吉川(元)委員 私、大学における国旗掲揚、国歌斉唱が教育の振興に係る企画及び立案及び援助及び助言に関することというふうに、どこでどうやるとそれがそういうふうに当たるのかというのが全く理解できません。

 指摘するまでもなく、憲法二十三条は学問の自由を保障しております。通説では、学問の自由というのは、研究の自由、研究発表の自由、そして教授の自由の三つを指すと言われておりますし、これにより、大学を対象とした学習指導要領というようなものが存在できない、存在しないんだというふうにも考えております。また、大学における研究や教育の自主性、独立性を守るために、学問の自由を保障する制度的保障として大学の自治が位置づけられておるのではないでしょうか。

 昨年の学校教育法の改正に当たっても大学の自治のあり方が大きな議論になりましたが、大学の自治は、研究、教育の内容を含めた大学運営の全てにわたり、結果的に、その業務を統理する立場として学長が存在しているものと理解しております。

 そう考えますと、仮に要請であったとしても、あるいは国立か私立かを問わず、国から国旗掲揚、国歌斉唱を促すようなことは、学問の自由と大学の自治に影響を及ぼしかねないというふうな危惧を持っております。

 あくまでも大学の自主的な判断に委ねておくべきだと考えますが、いかがでしょう。

○下村国務大臣 文部科学省としては、国旗掲揚や国歌斉唱が長年の慣行により広く国民の間に定着していること、また、平成十一年八月に国旗及び国歌に関する法律が施行されたことも踏まえ、私立大学に対してではなくて、各国立大学において適切な対応がとられるよう検討を要請してまいりたいと考えております。

 これはあくまでも要請でありますので、大学の自治とか自主性の妨げとなるものではありません。

○吉川(元)委員 参議院の予算委員会、さすがに下村大臣はそういうふうに答弁されておりませんけれども、安倍総理が同様の趣旨の質問をされた際の答弁の中で、国立大学について、税金によって賄われているということを理由の一つに挙げて、国立大学での国旗・国歌について実施すべきだというふうに述べられております。私、これは非常に強い違和感といいますか、恐怖も感じます。

 戦前、天皇機関説という問題が発生いたしました。その二年前に、実は京都大学で滝川事件というものが発生しております。御存じかどうかわかりませんが、岩波書店の岩波茂雄氏は後に、この事件は、学者、思想家がその後に凶暴な軍部や右翼に屈する端緒になった、そういうふうに評価をしている事件であります。

 そのときに、滝川事件というのは、別にどうってことのない、本人が書いた本について問題視され、教授をやめるべきであると文部相が強く要求し、それに対して当時の京都大学の法学部の教授たちが、七人ですけれども、抗議をして辞任をされた。そういう事件であります。

 そのときにちょうど国会の場において、先日の参議院と同じような質疑が行われております。これは衆議院の方ですけれども、ある委員の方から、大学における赤化教授に対する罷免を要求したい、こういう意見を持った者が国家の禄をはんで教職についているのはやはり問題である、そういう旨の発言をしているわけです。

 今回は下村大臣はそういうふうにはおっしゃられておりませんのでそれはないというふうに私思いますけれども、国立大学というのは運営交付金を主な財源としているのは事実です。だから国からの要請を受けとめるべきだとするならば、国立大学は常に国や時の政権の考え方をしんしゃくすべきだというふうになってしまうのではないか、そういう懸念が一つあります。

 もう一つは、国立大学はどこもそうでしょうが、財政逼迫が言われる現状、たとえ要請であっても、これに応えなければ運営交付金の重点配分を受けられないのではないか、そういう不安を大学に抱かせるようになるのではないかというふうに思います。

 そこで、ちょっとこれは通告しておりませんが、答弁の中になかったので伺いますが、今回の要請について大学側がそれを拒否した場合、何らかのことが行われるのでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 要請をこれから各種の会議などでしてまいりたいと思いますけれども、大学側の態度によりましてその運営交付金などの配分に影響を及ぼすということは考えておりません。

○吉川(元)委員 それの法的根拠はどこにありますか。

○吉田政府参考人 法的根拠と言いますが、これは予算上の措置でございますので、予算の配分に当たりまして、先ほど申し上げましたことで考えております。

○吉川(元)委員 通告の際にもお話しさせていただいたんですが、これはいわゆる行政手続法の第三十二条に当たるものだというふうに解してよろしいんでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 行政手続法上の位置づけとしては、行政指導に該当するものと考えます。

○吉川(元)委員 だとすれば、その第二項、行政指導にかかわる者は、「その相手方が行政指導に従わないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」というふうに書いておりますが、まさにこれでよろしいんでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 行政手続法上の「行政指導の一般原則」については、ただいま御指摘のようなものが掲げてございます。「不利益な取扱いをしてはならない。」ということになっておりますので、その趣旨を踏まえて対処いただいたものです。

○吉川(元)委員 行政手続法第三十二条の第二項に基づいて、たとえ要請があったとしても、それを受けるか受けないかは、あくまで相手方の任意の協力によってのみ実現をされる。たとえそれに従わなかったとしても、例えば先ほどの運営交付金も含めて、不利益な取り扱いは行われないということで理解をしたいというふうに思います。

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天壌無窮(ただし稲作が続く限り)

第169会国会 衆議院農林水産委員会第7号(平成20年4月2日)

○稲田委員 最後に、大臣にお伺いをいたします。

 私は、農業を一つの産業とはとらえてはおりません。農業は日本文化の原点であります。アマテラスオオミカミの神勅にも、稲作が続く限りこの国は繁栄すると書かれております。水田は日本の美の象徴ですし、お米は日本人の主食です。主権国家は自国民の食料を自国で賄えなければ主権国家とは言えず、三九%の自給率で主権国家と言うことができるのか、他国に食料安全保障をゆだねるというのは、私は根本的に誤っていると思っております。

 農業政策は、こういった意味で、我が国のあり方、存立そのものにかかわる重要政策でございますけれども、文化の伝承、そして防衛、集落再生、さまざまな観点から省庁横断的な対策が必要だと思いますが、大臣の農業政策にかける思いと対策についてお伺いをいたしたいと思います。

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法人化前の公費投入額を確保

国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議

政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

1 国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、白主的・自律的な運営の確保に努めること。

2 国立大学の運営に当たっては、学長、役員会、経営協議会、教育研究評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに、相互に連携を密にすることにより白主的・自律的な意思決定がなされるよう努めること。また、教授会の役割についても十分配慮すること。

3 役員等については、大学の教育研究や運営に高い識見を有し、当該大学の発展に貢献し得る者を選任するよう努めること。

4 文部科学大臣は、中期目標の作成及び中期計画の認可に当たっては、大学の自主性・自律性を尊重する観点に立って適切に行うこと。

5 国立大学の評価に当たっては、明確かつ透明性のある基準に従って行うとともに、基礎的な学間分野の継承発展や国立大学が地域の教育、文化、産業等の基盤を支えている役割にも十分配慮すること。また、中期目標等の業績評価と資源配分を結びつけることについては、大学の自主性・自律性を尊重する観点に立って慎重な運用に努めること。さらに、評価に係る業務が国立大学の教職員の過度の負担とならないよう努めること。国立大学法人評価委員会の委員は大学の教育研究や運営について高い識見を有する者から選任すること。

6 運営費交付金等の算定に当たっては、公正かつ透明性のある基準に従って行うとともに、法人化前の公費投入額を十分に確保し、必要な運営費交付金等を措置するよう努めること。また、学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、適正な金額とするよう努めること。

7 国立高等専門学校については、各学校の自主性・自律性を尊重し、教育研究の個性化、活性化、高度化が一層進むよう配慮すること。

8 国は、高等教育の果たす役割の重要性に鑑み、国公私立全体を通じた高等教育に対する財政支出の充実に努めること。また、高等教育及び学術研究の水準の向上と自立的な発展を図る立場から、地方の大学の整備・充実に努めること。

9 職員の身分が非公務員とされることによる勤務条件等の整備については、教育研究の特性に配意し、適切に行われるよう努めること。また、大学の教員等の任期に関する法律の運用に当たっては、教育研究の進展に資するよう配慮すること。

10 公立の義務教育諸学校の教職員の処遇については、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法を今後とも堅持し、国家公務員に準拠する規定が外されることにより同法の趣旨が損なわれることがないよう、十分配慮すること。

(2003年5月16日、衆議院文部科学委員会)

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性善説と性悪説

第155回国会 衆議院経済産業委員会第8号(平成14年11月22日)

○松原委員 今回、データの改ざん等もあって、まさに安全性という問題は非常に問題があったわけであります。

 昔の中国の儒家の中に、孟子という人は性善説、惻隠の情ということを言いまして性善説、荀子は性悪説、こういうふうな話でありました。私は、人間というのは性善か性悪かというのは環境によって変わるんだろうと思っておりますが、少なくとも今回のこのトラブルのデータ改ざん等を眺めると、どうも性悪説になってしまっている、日本人はどうもそういう方向に安易に流れる傾向になっている、こんな気がしてならないわけであります。

 そういった意味において、性悪説に立って行うのか、性善説に立ってこういった信頼を取り戻そうとするのか、大臣のお考えをちょっとお伺いしたいと思います。

○平沼国務大臣 私は両面あるんじゃないかと思います。しかし、今回の自主点検の部分のいわゆるデータの改ざん、隠ぺい、虚偽の報告、これを見ますと、根本的なモラルといいますか、そういったものが私は欠落していたと思います。そういう意味では、二つある中で性悪の方が機能して改ざんだとか捏造だとか虚偽の報告が出てきたと思うんです。しかし、根底的には、私は、環境が整って、そして人間が本当に自覚をしていけば性善説の面が発揮できると思います。

 ですから、それはやはり、先ほど御指摘になられました、いかに安全文化をしっかり確立して、意識をしていい面を呼び起こして、いい方向にそこを回転させていく、こういうことが必要だと思っております。

 私は、こういう国の何十万の命にかかわっていることに関しては、今の段階ではやはり性悪説に根づいた形で私どもはしっかりと歯どめをかけていく、このことは今の段階では私は必要だと思いますけれども、最終的には、理想論かもしれませんけれども、そういう条件を整備して、人間本来が持っているいいところを引き出す、そういう倫理観を引き出すようなそういう企業づくりあるいは役所づくり、そして、それがひいては日本全体、そういうことをしていくことが私は大きな目では必要じゃないかな、十分なお答えになったかどうかわかりませんけれども、そんな思いを持っております。

○松原委員 私も、もとより政治の使命というのは、例えば、そこに一杯の御飯しかない、そこに十人の人間がいれば殴り合いをしてしまう、性悪になってしまう、十分な食事があれば性善でいられるという、つまり、私は、人間というのは、その状況によって性悪にも性善にもなる。もちろん、人によってその範囲とレベルが違う。あまねくそこに住む人間を性善にすることが政治の根本的な一つのテーマだろうと思っております。

 翻って今回の状況を見ると、閉鎖性という言葉を大臣はおっしゃいました。そういった中で、どうも何か性悪であることが全くモラルに違反しない、そういった状況が見えて大変遺憾だと思っております。そういった意味では、これを直すように全力で取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 原子力の推進と規制がそういう中で、若干性悪に立って言うならば、逆に言えば、規制と推進が同一の組織が担当するということが果たして妥当かというふうな話になってくるわけでありまして、この点についての御所見をお伺いいたします。

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この規則を守ってはならない

行政手続法(平成五年法律第八十八号)

第四条
国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(中略)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(中略)については、この法律の規定は、適用しない。

国の機関又は(以下略)に対して行政手続法を適用すれば、行政手続法第四条に違反する。

国の機関又は(以下略)に対して行政手続法を適用しなければ、「適用しない」とした第四条の規定を適用したことになるので、やはり行政手続法第四条に違反する。

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「超法規的措置」の法的根拠

第76回国会(衆議院)予算委員会第3号(昭和50年10月22日)

○佐々木(良)委員 経済の混迷がいま国民の最大の課題と相なっておりますが、一方、私は政治運営もまたある意味での混迷期に入っておると思います。そしてそのことに対する国民の不安も相当なものがあろうかと思います。御承知のごとく総理の意図とは別に解散問題が語られ、さらにまた、この委員会を通じて最も強く内閣の政治責任問題が迫られております。あわせてまた、総理の党内、閣内におけるリーダーシップ問題もちらちらと話題に上っておるようであります。私はこの委員会を通じまして、外交、防衛並びに経済の各般にわたって総論的な質問を行いたいと思いますが、その背景に内閣自身の政治責任問題、総理のリーダーシップ問題をはっきりと踏まえながら質疑を行っていきたいと思いますので、そのような立場でどうかお答えをいただきたいと思います。

 まず、政治責任問題と関連しながら、例のクアラルンプール公館の赤軍ゲリラ占領事件と、これに対してとった政府の措置についてまず伺います。

 稻葉法務大臣に簡単に経過を伺いたいと思いますが、本件の犯人釈放について、当時、このことを超法規的措置と伝えられておりました。いやしくも法治国家として、超法規などと称する無根拠な釈放措置は許さるべきでないと思いますが、その法的根拠と、釈放指揮系統の実情について簡単に御説明をいただきたい。

 あわせて、釈放後犯人はリビア政府に引き渡されたと言われておりますが、この出国は法的にはどう説明される状態であるのか。旅券交付手続が行われたとも言われておりますし、逃亡だともとられておるようであります。現在リビアにおると思われる犯人の身分の法的地位も含めて御説明を承りたいと思います。


○稻葉国務大臣 御質問はただいまのところ四点であろうかと思います。

 法的措置をとった手続でございますが、およそ法治国家においては、法秩序の維持は治安の根幹につながる重大な問題であって、国家刑罰権の適正な実現を期することもその重要な機能の一つであるということは申すまでもありません。今回、犯人の不法な要求を終局的には受け入れ、実定法の定めによらずして、現に裁判中の被告人や服役中の既決囚を釈放せざるを得なかったことは、まことに遺憾であり、残念なことであったというほかはありません。

 しかしながら、今回の措置は、多数の人質の生命、身体の安全を図るという人道的な見地から、緊急かつ異常な事態のもとにおいて、ほかにとるべき手段もないため、やむを得ず閣議に諮った上でとられた措置であって、国民各位が果たしてこれを理解されるであろうかどうか、私にも疑問が残るわけであります。

 その経緯については、事柄の重大性にかんがみ、本国会の冒頭において、特に総理大臣から御報告をいただいたわけであります。

 事件の経緯を申し上げますと、本年八月四日午後零時三十分、日本赤軍と称する者五名が在マレーシア・アメリカ合衆国大使館及びスウェーデン大使館に侵入して同所を占拠し、スウェーデン臨時代理大使及び米国領事を含む五十三名を人質にした上、わが国において勾留中の者など七名の釈放等を要求するという事件であります。まことに……(佐々木(良)委員「事実関係は承知していますから」と呼ぶ)

 政府は、直ちに内閣官房長官を本部長とする対策本部を設けるとともに、福田臨時総理大臣以下関係閣僚を中心に対策を協議しましたが、人質を救出するための適切な方策が見出せない上、マレーシア政府の強い要請もあり、この際、人命尊重を第一義として犯人の要求に応ずるのもやむを得ないという結論に達し、同日深更、内閣においてその旨を決定いたしました。

 そこで、法務大臣私が、右閣議決定に基づき検事総長を指揮し、犯人らの意向に応ずる旨意思表示した五名の釈放手続をとらせることとし、同人らをマレーシアまで護送し、その上、同月六日、同地において釈放しました。

 右五名は、その後マレーシア官憲の手により犯人らの手に引き渡され、新たに人質となった外務省幹部など、マレーシア政府高官各二名とともに日本航空特別機で、同月八日、リビア・アラブ共和国トリポリ空港に到着し、犯人ら五名とともに同国官憲の拘束下に入り、同時に、人質となっていた外務省幹部ら四名は釈放されました。

 次に、犯人らの要求に応じ、公判中の被告人らを釈放した法的根拠いかんというお問いに対してお答え申し上げますが、今回の措置は、人質とされた者の生命の安全を図るため、純粋に人命尊重という立場から、他にとるべき手段がないため、まことに必要やむを得ない措置として釈放したものでありますが、その措置は、刑事訴訟法等関係法令の定めるところによったものではありません。現行法規には、今回のような緊急の事態における身柄釈放の手続を定めた明文の法規は存在いたしません。緊急の事態において、人命尊重という目的のもとに、行政府すなわち内閣が、その判断と責任において釈放を決定したものであります。この事件の国際性をも含めた大所高所からの政府判断は、法秩序全体としては許容されるという、消極的適法性というか違法性阻却は認められると思うております。

 次に、犯人及び釈放した者に対する政府の態度いかん、すなわちリビア政府との関係いかんというお問いに対してお答え申し上げます。

 法務省としては、外務省に対し、これらの者の身柄回復のための外交的努力を要請済みであります。この点についての外務省の御措置については外務大臣から御答弁していただくことにいたします。

 それから、あとの御質問に、今後このような事案が起きた場合のそれに対処するあらかじめの措置をどうするかということはありませんですね。――それじゃ、以上、御質問に対するお答えを一応お答え申し上げておきます。

○佐々木(良)委員 出国手続。

○稻葉国務大臣 刑事被告人及び収容中の刑事犯罪人の出国手続につきましては、外務省から旅券の交付があったというふうに聞いております。

○佐々木(良)委員 これは外務省ですか、法務省ですか存じませんが、そうすると、いま犯人は旅券を持っておるんでしょうか。

○安原政府委員 お答えいたします。

 ただいま大臣が申されましたように、五名の釈放されました者につきましては、外務省から旅券を交付して出国の手続をいたしましたが、これらの五名につきましては、検察官が指揮をいたしまして、マレーシアに護送し、現地で釈放いたしましたが、その釈放する際に、外務大臣からの旅券の返納命令を出していただきまして、検事がその返納を受けて外務省に返還済みでございます。したがって、現在旅券は持っておりません。

○佐々木(良)委員 旅券を持っておらずに外国に行っておるということはどういう状態になるのですか。

○安原政府委員 この点はむしろ在外における邦人の滞在の問題でございますので、外務省からお答えをいただいた方がいいと思いますが、聞くところによりますと、出国をする際に一つの手続を踏むとすれば、やむを得ず釈放した事態ではございましたが、旅券を持たせて国を出させるというのが国内法上の手続であったので旅券を出したということでございまして、あと、私の理解では、これらの五人の者が外国に在留を許されているとすれば、それは旅券によらずして当該国の承諾に基づいて在留をしておるというふうに理解すべきものと思います。

○佐々木(良)委員 その者には逮捕がまだできるのですか。

○安原政府委員 その点は、なお釈放いたしました五名のうち一名の松田というのは、強盗等の罪におきまして懲役八年等の刑の執行中でございましたので、この者につきましてはなお刑の執行が終了いたしておりませんので、わが国の主権の行使できる範囲に入りました場合は刑の執行ができるという状態でございますし、その他四名の者は、勾留を受けて、そして公判手続中でございましたが、これも、これら四名の者につきましては、勾留の裁判はなお効果を継続しておりますので、同じくわが国の主権の行使ができる範囲に入りました場合におきましては、勾留の効果に基づきまして、検察官が指揮をして、なお拘置所に収監できるという状態にあるというふうに理解をいたしております。

○佐々木(良)委員 承りましたように、大変複雑な状態でありますし、大変不安定な状態だと思います。政府自身が旅券を交付して外国に持っていって、そしてそこで釈放して、釈放した途端からそれは再逮捕の対象に相なっておる日本人ということであります。何とも法的な措置としては私は説明のできない状態だと思います。このような不安な状態と、大変超法規的な措置がとられておること。

 それから、先ほどの稻葉さんのお答えの中で、私は必ずしもよくわからなかったのでありますが、この釈放は言うならば、かつて吉田内閣のときの犬養法相の指揮権発動といって騒がれたときと同じことだと思いますが、違いますか。

○稻葉国務大臣 犬養法相の検察当局に対する指揮権の発動は、これは適法な検察庁法十四条という根拠があってなされた指揮でございますが、そうして、それは裁量権の範囲内で行われた措置でありまして、今回の場合は全く外交関係やその他緊急な事態とかいうことを切り離して考えれば、そういう指揮は法的根拠のない指揮で、簡単に言えば違法な指揮でございますから、あのときの指揮権の発動には当たらないというふうに思います。

○佐々木(良)委員 そうすると、あの当時の指揮権は法的根拠をもって行われたが、今回の場合はあのときの法的根拠さえ踏まずに行われたということですね。

○稻葉国務大臣 つまり、検察庁法十四条に基づく法務大臣の検事総長に対する指揮ではありません、こういうことでございます。

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伏せ字

第15回国会 衆議院 予算委員会 第31号(昭和28年2月28日)

○西村(榮)委員 私は日本国総理大臣に国際情勢の見通しを承つておる。イギリス総理大臣の翻訳を承つておるのではない。あなたの国際情勢を楽観すべきであるという根拠は、イギリス総理大臣チャーチルの演説においてとられたというのであります。アイゼンハウアー元帥は就任以来楽観説を言つておりません。同時にアイゼンハウアー元帥が大統領に就任いたしまして以来、公式声明は国際情勢の緊迫を力説しておるのであります。同時にアイゼンハウアー元帥が当選して就任いたしまして以来、チャーチルの言動はかわつて参りました。チャーチルはアイゼンハウアーが大統領に就任いたしまして以来、国際関係は楽観すべきであるということはどこにも言つておりません。同時に私はここに問題になるのは、なるぼどヨーロツパの情勢は楽観すべく、一応の危機は緩和したかもしれません。しかしながらその危機の険悪な焦点は朝鮮に移つて来て、世界の危機は朝鮮にその焦点がしぼられて来ておる。そこで私は大臣にお尋ねしたいのであります。イギリスの総理大臣の楽観論あるいは外国の総理大臣の楽観論ではなしに、ヨーロッパは緩和したが、朝鮮の問題を中心にいたしまして、風雲は極東に移りつつあるということをすなおに考えて、これに対して日本国家としては一体どうするのであるかということを、一九五三年の初頭に際して、日本の総理大臣に日本国民は問わんとしておるのであります。私は現国際情勢というものをすなおにごらんになつて、しかもわが隣国朝鮮に国際危機の焦点が移つておる、その中に立つて一体われわれはどうするのだということを、日本の総理大臣に国民が問おうとしておるのでありますから、私はこれに対して、やはり日本の総理大臣としての国際情勢の見通しとその対策をお述べになることが当然ではないか、こう思うのであります。

○吉田国務大臣 ただいまの私の答弁は、日本の総理大臣として御答弁いたしたのであります。私は確信するのであります。

○西村(榮)委員 総理大臣は興奮しない方がよろしい。別に興奮する必要はないじやないか。(吉田国務大臣――なことを言うな」と呼ぶ)何が――だ。(吉田国務大臣「――じやないか」と呼ぶ)質問しているのに何が――だ。君の言うことが――だ。国際情勢の見通しについて、イギリス、チャーチルの言説を引用しないで、翻訳した言葉を述べずに、日本の総理大臣として答弁しなさいということが何が――だ。答弁できないのか、君は……。(吉田国務大臣「―――――」と呼ぶ)何が―――――だ。―――――とは何事だ。これを取消さない限りは、私はお聞きしない。議員をつかまえて、国民の代表をつかまえて、―――――とは何事だ。取消しなさい。私はきようは静かに言説を聞いている。何を私の言うことに興奮する必要がある。

○吉田国務大臣 ……私の言葉は不穏当でありましたから、はつきり取消します。

○西村(榮)委員 年七十過ぎて、一国の総理大臣たるものが取消された上からは、私は追究しません。しかしながら意見が対立したからというて、議員を―――――とか、――だとか議員の発言に対して――だとか―――――とかと言うことは、東條内閣以上のフアツシヨ的思想があるからだ。静かに答弁しなさい。
 私が今ここにお伺いしておることは、その険悪なる国際情勢に際会して、現内閣は中立放棄の宣言を、岡崎外務大臣が施政演説の中に述べられたのであります。私はイデオロギーとして、今日は共産主義か自由民主主義かの中にあつて中立はあり得ないということは了承します。しかしながら、政治的に中立を放棄するということにつきましては、日本国民としては重大な問題になつて来ている。そこで私は総理大臣にお伺いしなければならぬことは、一体何がゆえに唐突として内閣の施政演説の中に政治的中立放棄の宣言をしなければならなかつたか、この理由を承りたい。



○中村(高)委員 議事進行につきまして発言を求めたいのでありますが、先ほど西村委員の質問中、総理大臣がという暴言を吐きまして、すぐに取消しはいたしましたけれども、これはきわめて重要な問題でありまして、ただちにわれわれは委員会の審議の停止を要求いたそうと思つておつたのでありますが、ただいままで進行いたして参りました。われわれは目下この問題について協議中であります。いやしくも総理大臣が、この国会においてというような発言をいたしたことはいまだかつてないのであります。この国会で、しかも予算委員会の審議中に、こういう発言をせられたということが一般にわかりましたならば、おそらく大きな批判を受けることは事実でありまして、国会の名誉のためにも。かくのごとき言葉を放たれましたことに対しては、われわれも捨てておくわけには参りませんので、ただちに休憩をせられまして、休憩後にこの問題について、われわれは予算委員会において起りました問題でありますから、まず予算委員会におきまして取り上げて、その問題を協議いたしたいと思います。これからわれわれは協議の必要がありますので、この程度でひとつ休憩をせられたいと思うのであります。

○尾崎(末)委員長代理 中村君に一言申しますが、議事進行に関する動議の御趣意はよくわかりました。ただ私の承知いたしておりますところは、先ほど総理大臣がとかとかなんとかお述べになつたのは、委員長の正式の発言の許可を受けてやられたのではなくて、いすの上に腰かけておられて、私的に述べられたように思います。(「なお悪いじやないか」と呼び、その他発言する者多し)その点はいずれ話し合うとわかりますから、私はその点聞えておりましたがと、一言私が申し述べておきますだけのことで、それらの可否は、先ほど申したように、よく皆さんと御相談をいたすことにいたします。

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「この法律を適用してはならない」

地方公務員法

第四条 この法律の規定は、一般職に属するすべての地方公務員(以下「職員」という。)に適用する。

2 この法律の規定は、法律に特別の定がある場合を除く外、特別職に属する地方公務員には適用しない。

特別職地方公務員に地方公務員法を適用すれば、「この法律の規定は……特別職に属する地方公務員には適用しない。」という第四条第二項に違反する。

特別職地方公務員に地方公務員法を適用しなければ、「特別職に属する地方公務員には適用しない。」という規定を適用したことになり、第四条第二項に違反する。

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教育勅語と「基本的人権」 (衆議院)

教育勅語等排除に関する決議


民主平和国家として世界史的建設途上にあるわが国の現実は、その精神内容において未だ決定的な民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが徹底に最も緊要なことは教育基本法に則り、教育の革新と振興とをはかることにある。しかるに既に過去の文書となつている教育勅語並びに陸海軍軍人に賜りたる勅諭その他の教育に関する諸詔勅が、今日もなお国民道徳の指導原理としての性格を持続しているかの如く誤解されるのは、従来の行政上の措置が不十分であつたがためである。

思うに、これらの詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる。よつて憲法第九十八條の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの詔勅の謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである。

右決議する

(衆議院本会議、昭和23年6月19日)

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教育勅語と「国民道徳の振興」 (参議院)

教育勅語等の失効確認に関する決議


われらは、さきに日本国憲法の人類普遍の原理に則り、教育基本法を制定して、わが国家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に払拭し、真理と平和とを希求する人間を育成する民主主義的教育理念をおごそかに宣明した。その結果として、教育勅語は、軍人に賜はりたる勅諭、戊申詔書、青少年学徒に賜はりたる勅語その他の諸詔勅とともに、既に廃止せられその効力を失つている

しかし教育勅語等が、あるいは従来の如き効力を今日なお保有するかの疑いを懐く者あるをおもんばかり、われらはとくに、それらが既に効力を失つている事実を明確にするとともに、政府をして教育勅語その他の諸詔勅の謄本をもれなく回収せしめる。

われらはここに、教育の真の権威の確立と国民道徳の振興のために、全国民が一致して教育基本法の明示する新教育理念の普及徹底に努力をいたすべきことを期する。

右決議する。

(参議院本会議、昭和23年6月19日)

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東京は「帝国の首都」「我が国都」

詔書

朕神聖ナル宗祖ノ洪範ヲ紹キ光輝アル国史ノ成跡ニ鑑ミ皇考中興ノ宏謨ヲ継承シテ肯テ愆ラサラムコトヲ庶幾シ夙夜兢業トシテ治ヲ図リ幸ニ祖宗ノ神祐ト国民ノ協力トニ頼リ世界空前ノ大戦ニ処シ尚克ク小康ヲ保ツヲ得タリ

奚ソ図ラム九月一日ノ激震ハ事咄嗟ニ起リ其ノ震動極メテ峻烈ニシテ家屋ノ潰倒男女ノ惨死幾万ナルヲ知ラス剰ヘ火災四方ニ起リテ炎燄天ニ沖リ京浜其ノ他ノ市邑一夜ニシテ焦土ト化ス此ノ間交通機関杜絶シ為ニ流言飛語盛ニ伝ハリ人心洶々トシテ倍〃其ノ惨害ヲ大ナラシム之ヲ安政当時ノ震災ニ較フレハ寧ロ凄愴ナルヲ想知セシム朕深ク自ラ戒慎シテ已マサルモ惟フニ天災地変ハ人力ヲ以テ予防シ難ク只速ニ人事ヲ尽シテ民心ヲ安定スルノ一途アルノミ凡ソ非常ノ秋ニ際シテハ非常ノ果断ナカルヘカラス若シ夫レ平時ノ条規ニ膠柱シテ活用スルコトヲ悟ラス緩急其ノ宜ヲ失シテ前後ヲ誤リ或ハ個人若ハ一会社ノ利益保障ノ為ニ多衆災民ノ安固ヲ脅スカ如キアラハ人心動揺シテ抵止スル所ヲ知ラス朕深ク之ヲ憂惕シ既ニ在朝有司ニ命シ臨機救済ノ道ヲ講セシメ先ツ焦眉ノ急ヲ拯フテ以テ恵撫慈養ノ実ヲ挙ケムト欲ス

抑モ東京ハ帝国ノ首都ニシテ政治経済ノ枢軸トナリ国民文化ノ源泉トナリテ民衆一般ノ瞻仰スル所ナリ一朝不慮ノ災害ニ罹リテ今ヤ其ノ旧形ヲ留メスト雖依然トシテ我国都タルノ地位ヲ失ハス是ヲ以テ其ノ善後策ハ独リ旧態ヲ回復スルニ止マラス進ンテ将来ノ発展ヲ図リ以テ巷衢ノ面目ヲ新ニセサルヘカラス惟フニ我忠良ナル国民ハ義勇奉公朕ト共ニ其ノ慶ニ頼ラムコトヲ切望スヘシ之ヲ慮リテ朕ハ宰臣ニ命シ速ニ特殊ノ機関ヲ設定シテ帝都復興ノ事ヲ審議調査セシメ其ノ成案ハ或ハ之ヲ至高顧問ノ府ニ諮ヒ或ハ之ヲ立法ノ府ニ謀リ籌画経営万遺算ナキヲ期セムトス

在朝有司能ク朕カ心ヲ心トシ迅ニ災民ノ救護ニ従事シ厳ニ流言ヲ禁遏シ民心ヲ安定シ一般国民亦能ク政府ノ施設ヲ翼ケテ奉公ノ誠悃ヲ致シ以テ興国ノ基ヲ固ムヘシ朕前古無比ノ天殃ニ際会シテ卹民ノ心愈〃切ニ寝食為ニ安カラス爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ体セヨ

 御名 御璽

  摂政名

  大正十二年九月十二日

   内閣総理大臣兼外務大臣 伯爵 山本権兵衛

(「官報」大正十二年九月十二日)

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公文書への「洋製ノ墨汁(インキ)」使用を解禁

明治九年三月十五日太政官達第二十九号

院省使庁府県

自今公文ニ洋製ノ墨汁(インキ)ヲ用ヒ候儀不相成候条此旨相達候事

但洋文ヲ洋紙ニ書スルハ此限ニアラス

明治四十一年十二月七日閣令第四号

閣令第四号

明治九年太政官達第二十九号ハ之ヲ廃止ス

明治四十一年十二月七日

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まだ存在しない「軍令」によって「軍令」を制定

軍令ニ関スル件(明治四十年九月十二日軍令第一号)

朕軍令ニ関スル件ヲ制定シ之カ施行ヲ命ス

御名 御璽

 明治四十年九月十一日

陸軍大臣 寺内正毅

海軍大臣 齊藤 實

軍令第一號

第一条 陸海軍ノ統帥ニ関シ勅定ヲ経タル規程ハ之ヲ軍令トス

第二条 軍令ニシテ公示ヲ要スルモノニハ上諭ヲ附シ親署ノ後御璽ヲ鈐シ主任ノ陸軍大臣海軍大臣年月日ヲ記入シ之ニ副署ス

第三条 軍令ノ公示ハ官報ヲ以テス

第四条 軍令ハ別段ノ施行時期ヲ定ムルモノノ外直ニ之ヲ施行ス

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令制国の存続

京都府下国界並郡界変更法律(明治三十五年三月十一日法律第十四号)

京都府丹後国与謝郡雲原村ヲ同府丹波国天田郡ニ編入ス
 附則
本法ハ明治三十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス

(昭和五十七年七月二十三日法律第六十九号により廃止)

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11月31日

今般太陰暦ヲ廃シ太陽暦御頒行相成候ニ付来ル十二月三日ヲ以テ明治六年一月一日ト被定候事
(明治5年11月9日布告第337号)

今般御改暦ニ付テハ来ル十二月朔日二日ノ両日今十一月三十日三十一日ト被定候条此旨相達候事
(明治5年11月23日布告第359号)

第三百五十九号御布告御詮議ノ次第有之御取消相成候条此旨相達候事
(明治5年11月24日達)

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