2020年11月
小児扁桃周囲膿瘍の臨床的特徴
小児感染免疫
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- 巻
- 32
- 号
- 4
- 開始ページ
- 315
- 終了ページ
- 323
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本小児感染症学会
扁桃周囲膿瘍は、重篤な合併症で致死的になり得る深頸部感染症であり、早期発見・治療が望ましいが、本邦小児の詳細な臨床経過に関する報告は少ない。今回、扁桃周囲膿瘍と診断した16例を後方視的に検討した。発熱は14例(88%)で認め、診断前の有熱期間が48時間以内の症例は7例(50%)と半数を占めた。その他の臨床症状・所見は、咽頭痛16例(100%)、口蓋垂偏位14例(88%)、開口障害9例(56%)、嚥下困難8例(50%)であった。A群レンサ球菌(GAS)迅速検査は9例(56%)に施行され、陽性は2例(22%)であった。外科的介入によって11例(79%)で有効な排膿が得られた。GAS迅速検査および穿刺・切開排膿検体の培養検査で原因菌が判明した症例は12例(75%)であり、GASが6例(50%)で最も多く、次いでPrevotella spp.4例(33%)、Bacteroides spp.3例(25%)であり、複数菌感染が8例(67%)に上った。抗菌薬はアンピシリン/スルバクタムが全例で選択され有効であった。急性扁桃炎患者では有熱期間やGAS迅速検査の結果によらず、開口障害や口蓋垂偏位の出現に注意して経過を追い、扁桃周囲膿瘍の早期診断につなげることが重要であると考えられた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0917-4931
- 医中誌Web ID : 2021087118