共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

オートファジーによる細胞防護効果の分子機構の解明と新規治療法への展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K15653
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

放射線治療は有効な治療法であるものの、放射線抵抗性を獲得したがんでは治療効果が低い。その放射線抵抗性を決定づける因子のひとつに細胞周期チェックポイントがある。放射線を照射された細胞ではチェックポイントが活性化し、がん細胞が生存するのを助ける。申請者はこれまでに、放射線によって活性化したチェックポイントを抑制すると細胞死が増加することを明らかにしてきた。しかし、チェックポイントがどのように放射線抵抗性を導くのかという分子メカニズムについては明らかにできていない。本課題では、細胞が備え持つもうひとつの細胞防護機能として注目を集めているオートファジーと細胞周期チェックポイントの相互作用が放射線抵抗性を誘導すると仮説を立て、この点について検証する。本研究から放射線抵抗性獲得のメカニズムが明らかになれば、治療ターゲットの開発や新しい放射線治療計画の立案などにつながることが期待される。
本年度はオートファジー活性が高いことが治療抵抗性に寄与しているとされる膵がんを標的とし、膵がん細胞株に放射線を照射した際の細胞周期チェックポイントおよびオートファジー活性の詳細について検証した。複数の膵がん細胞株にX線を照射するとオートファジーおよび細胞周期チェックポイントが同じタイミングで活性化することを明らかにした。またそれぞれの機構を標的とした低分子を用いて機能を阻害すると細胞死が増加、つまりは放射線増感効果が観察された。さらに、この両機構の間には密接な相互関係が存在することを明らかにした。

ID情報
  • 課題番号 : 18K15653