2014年11月
判例評釈 相続によって主たる債務者の地位を併有するに至った連帯保証人による連帯保証債務の弁済行為は主たる債務の承認を含むとされた事例 : 最高裁判所平成25年9月13日第二小法廷判決(民集67巻6号1356頁) (黒柳米司教授退職記念号)
大東法学
- 巻
- 24
- 号
- 1
- 開始ページ
- 63
- 終了ページ
- 95
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 大東文化大学法政学会
本稿は、相続によって主たる債務者を相続し、主たる債務者兼連帯保証人の地位を併有するに至った保証人による保証債務の弁済行為は主たる債務の承認も含むとされた判決例である最高裁平成25年9月13日第二小法廷判決(民集67巻6号1356頁)の評釈である。最高裁はこの法理につき、①保証債務の弁済が主たる債務の存在を前提とすること、②債務の弁済が債務の承認を表示するものにほかならないこと、そして③主たる債務者兼保証人の地位にある個人が、主たる債務者としての地位と保証人としての地位により異なる行動をすることは想定しがたいことを根拠としている。しかし、同一の債権者および債務者間に複数の債権債務が帰属している場合、そのうちの一つの債務の弁済が他の債務の承認を含むか、という問題について、過去の判例や学説では複数存在する債務の性質や関係、そしてとりわけ債務者の弁済意思を考慮するべきというものが見受けられる。このことから、本件でも債務者が連帯保証債務を弁済する意思であったことから、承認による時効中断効も同債務に限定されるべきであるといえる。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0287-0940
- CiNii Articles ID : 120006246923
- CiNii Books ID : AN00137239
- identifiers.cinii_nr_id : 9000275830512