共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2021年3月

原発災害後の人間関係の葛藤への紛争解決学による変容支援研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
15K11932
体系的課題番号
JP15K11932
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円

原発災害後の人間関係葛藤等に対して、異なった紛争解決手法による対話実践を行ってきた団体にインタヴュー調査を行った。プロジェクトの名称、開始時期、開始の経緯、メンバーシップ、手法、ファシリテーターは誰か、その成果、困難点についてインタヴュー調査を行った。
特に、飯舘村の住民を対象とした「かすかだりの会(旧 までいな対話の会)」やいわき市の住民らを中心とする「未来会議」に対してインタヴュー調査を行った。前者はプロセス指向心理学によるファシリテーションが、後者はワールドカフェ手法等によるファシリテーターが用いられ、対話が行われてきていた。両者において、震災の当初は、人による意見や選択の違いに戸惑い、対立や葛藤として感じることも多かったが、対話を重ねるごとに違いを受け入れられるようになっていった、との意見があった。また、最初のうちはファシリテーションを専門とする外部のファシリテーターの役割が大きいが、回を重ねるうちに、対話の参加者自身にファシリテート能力がついていった、との意見もあった。
また原発災害後の人間関係葛藤等に対する紛争解決手法によるプログラムの一つとして実践した水俣・福島の交流プログラムに参加した福島のコミュニティーリーダーに、プログラム参加で何を経験し、何が印象に残り、どのような変化が起こったかについてのインタヴュー調査も行った。(1)水俣地域が抱える問題と、福島地域が抱える問題の類似性に気づいた、(2)言葉にならない問題の複雑性の中で両地域の共感に救われた、(3)水俣との出会いで希望の道筋が見えた、等の意見が得られた。水俣・福島の交流プログラムについては、英語による論稿を書籍の一部として執筆・発表した。修復的正義の考えに基づきながらも、加害者被害者の直接対話が難しい場合のプログラムの在り方として、今後より考察を深める方向性が見えた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15K11932
ID情報
  • 課題番号 : 15K11932
  • 体系的課題番号 : JP15K11932