共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年7月 - 2025年3月

細胞外足場タンパク質によるシナプス・非シナプス機能制御機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別推進研究  特別推進研究

課題番号
20H05628
体系的課題番号
JP20H05628
配分額
(総額)
602,160,000円
(直接経費)
463,200,000円
(間接経費)
138,960,000円

神経細胞は「シナプス」と呼ばれる接着構造によってお互いに結合してさまざまな神経回路を構成する。多くの精神・神経疾患ではシナプスに異常がみられることから、シナプス形成を担う分子群の解明は基礎・臨床神経科学における最重要課題の一つである。
近年、私たちは新しいシナプス形成分子として、細胞外足場タンパク質(Extracellular Scaffolding Protein: ESP)という概念を確立した。ESP は神経細胞やグリア細胞から分泌されて、シナプスにおいてシナプス前部や後部のさまざまな膜タンパク質と結合する足場として働く。ESPは従来のシナプス形成分子とは異なり、発達時のみでなく生涯にわたって、神経活動に応じたシナプスの再編や機能を制御する。さらに、神経細胞間や、神経細胞と非神経細胞の間にはシナプスとは異なった接着構造が存在し、ESPはこのような非シナプス性接着構造にも関与することがわかってきた。
そこで本研究では、シナプスおよび非シナプス性接着構造において機能するさまざまなESPのシグナル伝達機構の解明を進め、さらにESP の結晶構造を元にして人工的コネクターを開発することによって、神経回路網や非シナプス性接着構造の生理的機能を明らかにし、新しい観点から脳の動作原理および精神・神経疾患の病態の解明を進めることを目指す。
これまでにESPに属するシナプス形成分子として、補体ファミリー分子C1q, Cbln4, C1ql1、さらに神経ペントラキシン(NP)を中心にシグナル伝達機構の解明を進めてきた。特に正常発達時に起きる余分なシナプスの刈込み現象や、アルツハイマー病等における病的なシナプス減少において補体 C1q が関与するが、C1q がいったい何に結合するのかは不明であったが私たちは、これまでに中枢神経系における C1q 受容体の同定に初めて成功した(論文準備中)。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H05628
ID情報
  • 課題番号 : 20H05628
  • 体系的課題番号 : JP20H05628