骨転移に特異的なペプチドを探索するため、肝臓癌骨転移患者47例の保存血清を10年間retrospectiveにプロテオーム解析し、対照群(健常者21例、関節リウマチ患者17例)と比較した。さらに、原発癌または転移治療後の患者13例について8年間のprospectiveな解析を行った。結果、健常者と関節リウマチ患者の血清中には存在せずに癌患者のみ存在する分子量約5000Daの低分子ペプチドを見出した。このペプチド抗体は、骨転移だけでなく他の転移にも有用なことが判明したため"転移ペプチド"と命名した。ペプチドの切断位置の有用性を検証するために、C末端、全配列などの転移ペプチドにアミノ酸を付加し、異なる蛍光色で発色させる免疫組織染色を行ったところ、癌転移組織における転移ペプチドの分子標的性を立証できた。