論文

査読有り
2016年6月

月経前症候群の管理におけるスマートフォンアプリを用いた症状記録システムの開発と臨床使用

女性心身医学
  • 江川 美保
  • ,
  • 岡本 和也
  • ,
  • 西村 史朋
  • ,
  • 森野 佐芳梨
  • ,
  • 粂 直人
  • ,
  • 青山 朋樹
  • ,
  • 小西 郁生

21
1
開始ページ
105
終了ページ
113
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.18977/jspog.21.1_105
出版者・発行元
(一社)日本女性心身医学会

月経前症候群(premenstrual syndrome:以下PMS)は心身の不快な症状が月経前の黄体期に繰り返し出現する病態であるが、その診断は患者自身による前方視的記録に基づいて月経随伴症状の出現時期と反復性を確認することに依る。したがってPMSを正しく診断し適切に治療するには患者が症状記録を実践することと症状の変調を医師-患者間で確認することが重要である。これを簡便化、効率化する目的で、患者が月経随伴症状やその他の健康情報をスマートフォンで簡便に入力できるアプリと、その内容を病院内のサーバに保管し医師、患者ともに閲覧できるシステムを開発し、臨床使用を開始した。20歳から45歳までの通院患者28人を対象にアプリ記録群と紙記録群にランダムに割り当て症状記録を84日間継続させた。その結果、両群ともに心理的負担やデータ管理上の有害事象は出現せず、症状記録頻度は両群間において有意差がないこと(症状記録平均日数:アプリ群59.2±16.4日、紙群65.3±26.8日、p=0.483)が示された。症状記録後のアンケートの結果、症状記録によって主治医とのつながりを感じる傾向はアプリ記録群に、内省やセルフケアが促される傾向は紙記録群に、より強く表れた。アプリ記録群では記録の簡便さやデータの見やすさなどのメリットが認識される一方で、紙記録群では面倒さや煩雑さが指摘された。総じて、我々の開発したアプリは従来の紙媒体への記録法に劣らない症状記録法であることが示された。患者本人による症状記録はPMS診断に役立つのみならずそれ自体が認知療法的効果も発揮すると言われており、これを簡便に効率よく行える本システムは診療場面のみならずICTの普及する一般社会においても女性のヘルスケア向上のために有効に活用され得ると考察された。(著者抄録)

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.18977/jspog.21.1_105
URL
https://search.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2016&ichushi_jid=J03327&link_issn=&doc_id=20160727170040&doc_link_id=130006895167&url=http%3A%2F%2Fci.nii.ac.jp%2Fnaid%2F130006895167&type=CiNii&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00003_1.gif
URL
https://search.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2016&ichushi_jid=J03327&link_issn=&doc_id=20160727170040&doc_link_id=10.18977%2Fjspog.21.1_105&url=https%3A%2F%2Fdoi.org%2F10.18977%2Fjspog.21.1_105&type=J-STAGE&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00007_3.gif
ID情報
  • DOI : 10.18977/jspog.21.1_105
  • ISSN : 1345-2894
  • 医中誌Web ID : 2016308914

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