共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

3d遷移金属光触媒による高効率CO2還元を目指した反応機構解明と設計指針の提案

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 伊勢川 美穂

課題番号
18K05297
配分額
(総額)
3,900,000円
(直接経費)
3,000,000円
(間接経費)
900,000円

CO2の資源化は環境保全の観点から現代科学における重要な課題である。しかし、二酸化炭素は炭素が最大限に酸化された状態であり、不活性度が高いため、反応を起こしにくい。太陽光を駆動力とするCO2還元は、高温反応や電極反応など外部エネルギーを必要とする反応よりも理想的である。しかしながら、これまで研究されてきた光触媒のうち、反応効率が高いものは、貴金属を触媒とした有機溶媒中での反応に限られている。このため、安価な3d遷移金属が用いたより安全な水中で機能する触媒を開発する必要がある。本課題研究の目的は、理論化学計算を用いて、均一系光触媒によるCO2還元反応の反応経路を明らかにし、触媒設計の指針を示すことである。まず、光触媒の反応機構と類似していると考えられる電気化学的なCO2還元の反応経路を調べた。電極触媒の開発においては、より低い電極電位で反応を進行させることが重要な課題である。近年、カルフォルニア大学のKubiak グループは、6,6'-dimesityl-2,2' bipyridine を配位子として有するレニウム錯体によるCO2還元反応は、ブレンステッド酸の存在下で、-2.0 V以上の電極電圧を必要とするが、ルイス酸存在下では-1.6 Vで反応が進行することを示した。我々の計算結果は、実験結果を合理的に説明し、そして2つのルイス酸の寄与が1つの場合よりも、C-O結合開裂において速度論的に有利であることを示した。また、関連研究として、CO2還元の触媒として作用する可能性があるニッケルー鉄ヒドリド錯体およびニッケルーイリジウムヒドリド錯体の生成機構、ならびにニッケルーイリジウム錯体によるCO酸化の反応機構解明の研究も行った。