共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

レジリエンス強化のための備災マネジメントと南海トラフ地震・津波の影響地域への適用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
19H00813
体系的課題番号
JP19H00813
配分額
(総額)
45,760,000円
(直接経費)
35,200,000円
(間接経費)
10,560,000円

2011年東北地方太平洋沖地震では,強震動と津波の作用により,東北地方太平洋沿岸部を中心に多くの構造物が損壊・倒壊・流出した.結果として,約2,300万トンにもおよぶ災害廃棄物が発生し,その処理は東北地方太平洋沖地震の影響を受けた地域の復旧・復興活動の大きな妨げとなった.自然災害発生後の回復性(復興活動の迅速化),すなわちレジリエンス強化のためには,災害廃棄物量を適切に推定し,その対処方法を震災前に議論することが重要である.
本研究では,2011年東北地方太平洋沖地震に比べて広範囲,かつ甚大な被害が懸念されている南海トラフ地震による津波災害廃棄物量をリスクアプローチに基づき評価した.既存研究では,予想される最大災害廃棄物量を仮定し,その前提のもと,廃棄物の処理時間や予算を最小化するための議論が行われている.対策に必要な予算や労働力の観点から,合理的な災害廃棄物の処理が可能なのであれば,その最大量を想定することは妥当である.しかしながら,南海トラフ地震に対して最悪の作用(強震動・津波)を想定すると,構造物被害が甚大となり,膨大な災害廃棄物量に対する対策を講じなければならなくなる.災害廃棄物量の大きさとその発生頻度の関係に基づき,災害廃棄物量の処理に関わる意思決定をすることが合理的である.
本研究では,現在得られる知見に基づき,起こり得る断層の動きから想定される津波高さを確率的に評価し(津波ハザード評価),その大きさの津波を受けたときの構造物の損傷可能性を推定し(津波フラジリティ評価),さらには,構造物の損傷から予想される災害廃棄物量の総数を算定(影響度評価)することで,リスクカーブ(災害廃棄物量の大きさと頻度の関係)を提示した.本研究の特徴は,構造物の被害数と災害廃棄物量の関係(原単位)を導入することで,津波による災害廃棄物量のリスクカーブを算定したところにある.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H00813
ID情報
  • 課題番号 : 19H00813
  • 体系的課題番号 : JP19H00813