共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2017年3月

インフラストラクチャーからみるラオスにおける都市空間の生成に関する人類学的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
15J02953
体系的課題番号
JP15J02953
配分額
(総額)
1,900,000円
(直接経費)
1,900,000円

本研究の目的は交通インフラ整備にかかわる事業主体と、利用主体である人々、そして交通インフラそれ自体とが結ぶ諸関係に注目することで、ラオス首都ヴィエンチャンの都市化の過程を明らかにし、民族誌的に記述することである。平成28年度は、日本文化人類学会第五十回研究大会で口頭発表を行ったほか、愛知大学で行われたワークショップ「マテリアリティの政治と「インフラ論的展開」:社会の近代性を支えるヒト-モノへの問い」にコメンテーターとして参加したことで、社会学や歴史学などの隣接分野におけるインフラ研究の近年の動向と人類学的なアプローチを比較検討することができた。これらの研究者との交流を通じて、道路や水道、橋といった物質的基盤それ自体を研究の対象とすることと、ヒトや知識などをインフラとしてみるということによって、従来の西洋近代的なインフラの捉え方を問い直すという異なる視点から「インフラ研究」の有効性について検討する機会を得ることができた。
平成28年度の達成目標は、交通インフラとその整備事業に、シンボリックにもマテリアルにも織り込まれている「ラオスにおける(創造的)発展」の様態について、言説分析とフィールドワークを通して明らかにすることであった。そのため7月から9月にかけてラオス首都ヴィエンチャンに滞在し、ラオス国公共事業運輸省などの関連省庁及び公文書館、ラオス国立社会科学院で資料収集を行い、インフラ整備事業に関わる省庁職員や国際援助機関の職員、コンサルタントへの聞き取り調査を行った。フランス植民地期に近代的な公共事業の概念がラオスへ紹介されて以来、1975年以降の社会主義体制を経て、外国からの援助の時代とも呼べる現在に到るまで、ラオスにおける「発展」や「近代化」の意味づけやそれらを象徴するモノのあり方は、変化しながら歴史的に重層的になっており、各層を構成する要素間の複雑な関係を考察した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15J02953
ID情報
  • 課題番号 : 15J02953
  • 体系的課題番号 : JP15J02953