論文

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2023年12月9日

「測りすぎ」の学校状況下の言語と文化の包摂とその危機─教育の幸福な展望と,教育学との有益な接続と

第二言語としての日本語の習得研究
  • 南浦 涼介

26
開始ページ
108
終了ページ
127
出版者・発行元
第二言語習得研究会

この誌上講座では,外国につながる子どもをめぐって,学校教育がそれをいかに包摂できるかを,「子どもの捉え方」「カリキュラムの捉え方」の点から検討する。ただこの包摂の発想がうまくいくかどうかについては,現代の公教育の学校が抱える社会的状況や制度的特性をふまえて検討する必要がある。本稿では「測りすぎの時代(age of measurement)」を手がかりに,現代の公教育が,新公共管理の発想がもたらす説明責任とエビデンスを重視するものに転換する中で,学校と教師が萎縮し,そこに包摂の発想を受け止めにくい状況が発生しているリスクを指摘する。その上で,解決の手がかりとして,従来なされてきた制度の対抗としての運動に付加あるいは代替する,制度の解釈としての運用の発想を提起する。さらにサイエンスの側面を有する第二言語習得研究(SLA)が「測りすぎの時代」にある学校状況の中でどのように教育との結びつくのが有益となるかを検討する。

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