2018年3月25日
鼠径ヘルニア嵌頓に対する徒手整復によりS状結腸穿孔性腹膜炎を生じた1例
長崎医学会雑誌
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- 巻
- 92
- 号
- 4
- 開始ページ
- 290‐295
- 終了ページ
- 295
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 長崎医学会
症例は66歳の男性で、以前より左鼠径ヘルニアに対して自己整復を繰り返していた。今回、用手的な還納が困難であり、テーブルの角に押し当てて整復を試みたところ、その直後より強い腹痛が出現した。問診・診察および腹部CT所見より鼠径ヘルニア嵌頓整復に伴う下部消化管穿孔と判断し、緊急手術を施行した。肥厚したヘルニア嚢を含む壁側腹膜とS状結腸間膜との間の癒着を剥離すると、S状結腸腸間膜対側に拇指頭大の穿孔部が確認され、同部を挙上し双孔式人工肛門を造設した。術後、左鼠径部の残存ヘルニア嚢に膿瘍形成を認めたものの、抗生剤投与により保存的に軽快し、術後23日目に軽快退院した。本症例では穿孔部周囲腸管に血流障害を示唆する所見はなく、ヘルニア嚢に直接強い外力が作用したことでヘルニア嚢内のS状結腸が穿孔したと考えられた。鼠径ヘルニア整復に伴う消化管穿孔の報告は比較的稀であり、文献的考察を加えて報告する。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0369-3228
- 医中誌Web ID : 2018175947
- J-Global ID : 201802230924374902
- CiNii Articles ID : 40021534432
- CiNii Books ID : AN00275753