共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

抗酸菌前処理法の効率化に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K12125
体系的課題番号
JP18K12125
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

結核菌の臨床検体からの分離については、現在最も高感度な液体培養法でも100 CFU~/mL程度の菌濃度を必要とし、肺結核患者全体の80%強までしか細菌学的に証明できない。さらに検体中の結核菌濃度が低いほど培養陽性までに時間がかかる。核酸増幅法は迅速だが感度の点で液体培地に劣る。原因は検体中から迅速性と感度を確保するのに十分な結核菌を回収・濃縮できないことにあり、この問題を解決し、結核菌検査を高感度化・迅速化するため、臨床検体からの抗酸菌検出感度を現時点の100倍程度(1 CFU/mL程度)に高めることを目的とする。臨床検体からの結核菌検出感度が高くなることにより、より正確な細菌学的診断が可能となる。
平成30年度は臨床分離株を含む複数の結核菌株を培養し、懸濁液を作製した。臨床検体に関しては、均質化処理後の喀痰で懸濁液をBufferに置換することで誘電泳動法に適切な検体を作製することが可能であることを示した。合わせて結核菌を捕獲するのに最適な電流・電圧および周波数を特定した。
令和1年度は平成30年度に作製した懸濁液の改良と結核菌を捕捉する誘電泳動条件の再検討、ならびに機器の改良を検討した。懸濁液としてスクロースとグルコース水溶液、Tween 80%の溶液溶液で導電率1 μS/cmのBufferを作製した。誘電泳動の最適設定は周波数100 kHz、電圧 10 V、流速 0.5 mL/hと決定した。誘電泳動機器をファンクションジェネレーターに変更し、捕捉効率を約2倍とした。また、捕捉面積を増やしたチップを使用することで、捕捉率が向上した。
誘電泳動により菌が捕捉・濃縮されるものの、チップに菌が付着して十分な回収ができないことが問題となっている。共同研究者と機器の改良中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K12125
ID情報
  • 課題番号 : 18K12125
  • 体系的課題番号 : JP18K12125