共同研究・競争的資金等の研究課題

1986年 - 1987年

グラファイトーアルカリ金属層間化合物の水素吸収

日本学術振興会  科学研究費助成事業 一般研究(C)  一般研究(C)
  • 榎 敏明
  • ,
  • 宮島 清一

課題番号
61540250
体系的課題番号
JP61540250
配分額
(総額)
1,600,000円
(直接経費)
1,600,000円

アルカリ金属-グラファイト層間化合物CnM(M=K,Rb,Cs;n=8,24)は, グラファイト層間にアルカリ金属原子の挿入された構造を持つ金属性化合物である. この様なアルカリ金属-グラファイト層間化合物は水素の化学吸着及び物理吸着活性を示し, グラファイト層間に水素を吸蔵することが知られている. 化学吸着系においては, 原子状に解離した水素がグラファイト層間に安定化され, PdHx等の遷移金属水素化物と類似の系を形成し, 一方, 物理吸着系では, 水素分子が層間に凝縮した二次元凝縮状態を形成し, ゼオライト等のモレキュラー・シーブのガス吸収状態に対比される. 我々は本研究において, 主として化学吸着系を中心にして, これらの水素化物の電子状態, 構造, 吸蔵水素の層間での動的・静的挙動を固体物性の手段を用いて調べてきた. 本研究の中から, この様なグラファイト・アルカリ金属-水素三元系層間化合物の特異な電子状態, 構造等が明らかにされつつある. 即ち, PaHx等の遷移金属水素化物は水素原子と金属原子が合金系を形成し, 水素原子は非局在化した電子状態を持つ. 一方, KHのアルカリ金属水素化物はK^+H^-の様に局在化した電子状態を持つイオン的絶縁体である. 金属性を持つアルカリ金属-グラファイト層間化合物中に化学吸着により安定化された水素の持つ電子状態は, これら二つの水素化物の中間にあり, 比較的弱い伝導電子との相互作用の中で特異な電子状態を持つことが明らかになった.
本研究においては, この様な水素の吸収により得られるカリウムー水素-グラファイト三元系層間化合物の電気伝導度, 熱電能, プロトンーNMR,ESR及びC軸熱膨張についての研究成果を報告し, 上述の様に, これらの物質の特異な電子状態, 構造を明らかにする.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-61540250
ID情報
  • 課題番号 : 61540250
  • 体系的課題番号 : JP61540250