共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

黒髪白肌の系譜-上村松園の技法と表現-

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16K02258
体系的課題番号
JP16K02258
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

上村松園が活躍した近代日本画壇では、西洋絵画の影響と大会場での公募展覧会を発表の場とする新潮流が興り、近世までの絵画と比較して作品が巨大化した。巨大化した画面に対応するように新しい材料、技法、表現が生まれたと考えられる。しかしこれまで、その新しい技法表現に関する学術的な研究はほとんどされてこなかった。
明治から大正期の日本画材について少しずつ新知見が蓄積される中で、同時代の中核となる画家、上村松園の技法材料とその表現を調査分析し、芸術性を技術面から解明する必要性を大きく感じるようになった。また、上村松園作品の多くが制作されてから100年前後を経過し、平成28年度には「序の舞」東京藝術大学大学美術館所蔵(国指定重要文化財)が修復されるなど、作品群が修復時期を迎えつつある。この現状を踏まえ、松園の技法を分析することは作品をよりよいコンディションで修復するために必要不可欠となっている。また、技法や表現を解明するには、画材の科学的な分析に加えて、日本画実技に立脚した技法の実証実験による結果を集積することが重要であると考える。
本研究では、スケッチ、模写、下絵、本画作品を調査し、上村松園の使っていた技法とその表現の種類について分析する。それを日本画実技による再現実験によって検証し、松園の技法と表現の特徴を明らかにしたい。さらに、技法材料の同定、絵画構造、表現効果の研究成果は所蔵先の博物館及び美術館と共有して、作品展示や修復に活用できることを期待している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K02258
ID情報
  • 課題番号 : 16K02258
  • 体系的課題番号 : JP16K02258