2017年
上級日本語学習者による学術論文の読解における語義の解釈過程
一橋大学国際教育センター紀要
- 巻
- 号
- 8
- 開始ページ
- 119
- 終了ページ
- 132
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.15057/28737
- 出版者・発行元
- 一橋大学国際教育センター
中国語を母語とする大学院生が学術論文を読むときの読解過程を、読みながら理解した内容を母語で話してもらう方法で調査した。その結果、語の認識や文の構造を正しく把握し、語の辞書的な意味を正しく理解しても、当該の文脈に合った、適切な語義の解釈ができずに誤読することがわかった。論文のキーワードである「距離」「遠い」「レコード」「ソフト」で誤読が見られた2名の学習者の理解過程を質的に分析し、これらの語義がどのように解釈されるかを時系列的に追跡した。その結果、「距離」「遠い」は基本語で比喩的な解釈も可能であり、「レコード」「ソフト」は多義語であることが文の意味の不確実性を高め、誤読の要因となったと考えられた。また、解釈に使うコンテクスト(想定)として専門知識が優先されたことも要因となった。本研究から、初発の解釈を疑い、解釈を修正する柔軟性が読解能力の高さに繋がることから、解釈に対する柔軟性を読解教育で意識的にトレーニングする必要性が示唆された。
- リンク情報
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- DOI
- https://doi.org/10.15057/28737
- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/120006334898
- CiNii Books
- http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA12502475
- ID情報
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- DOI : 10.15057/28737
- ISSN : 2185-6745
- CiNii Articles ID : 120006334898
- CiNii Books ID : AA12502475
- identifiers.cinii_nr_id : 9000363174776