共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

放射能市民測定運動におけるフェミニスト・スタンドポイント研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K11894
体系的課題番号
JP18K11894
配分額
(総額)
2,470,000円
(直接経費)
1,900,000円
(間接経費)
570,000円

本研究は、女性の生活という立場から科学技術の有り様を議論するフェミニスト・スタンドポイント(FSP)アプローチを用いてチェルノブイリ原子力発電所以降に日本で行われてきた放射能市民測定運動を分析し、女性らの測定実践が果たしている社会的役割と、日本社会における放射線をめぐる「科学」の在り方を検討することを目的としている。当事者へのインタビュー、測定記録や日誌、会議録等の資料、ニューズレター、パンフレット、書籍等の発刊物の分析を通して体系的な調査を行う。
初年度は、福島第一原子力発電所事故以前から放射能測定活動に携わってきた第一波活動家らが、放射能市民測定運動の中で行ってきた測定実践および、それらを通して形成されてきた理念の調査を探索的に行った。すでにつながりのある活動家が体調不良のためインタビューの実施ができなかったが、一方で、別の経路から長期活動を行っている活動家との連携が形成されつつある。本年度明らかになったことは、震災以前の市民放射能測定には、想像以上に「専門家」の関わりがあるということである。核科学に限らず、環境測定や化学分析の領域で専門的トレーニングを受けた専門家らが、その技能を活かし、市民の立場から放射能測定に関与してきている。また逆に、非専門家という立場からは、福島原発事故以前に実施されていた、放射能以外の化学物質に関する(女性を中心とした)市民運動に関わった活動家らが、福島原発事故後に放射能測定に関わった事例についても調査を行った。
同時に本年度は、フェミニズム理論、特にFSPアプローチによる研究群の探索的調査を行った。この過程で、新マテリアル・フェミニズムと呼称される新たな動きが、本研究の分析枠組みとして援用できるのではという感触を得た。今後は、FSPアプローチと新マテリアル・フェミニズムとの関連を含めた理論枠組みの検討を行う。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K11894
ID情報
  • 課題番号 : 18K11894
  • 体系的課題番号 : JP18K11894