共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

日本語の母音無声化における心内処理に関する基礎的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K00601
体系的課題番号
JP18K00601
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

1:2019年8月にメルボルンで開催された国際音声科学会議(ICPhS)において、本研究の成果を一部発表した。主な内容は、2018年度におこなった以下の実験結果である。無声化が生起しやすい環境で無声化を起こしていない刺激(A)と、これとは逆に無声化が生起しにくい環境で無声化が起きている刺激(B)を作成した。この刺激を使用して、ディスプレイ上に単語のペアを提示し、その2秒後に被験者に刺激音声を提示して、反応速度を計測するという実験を作成した。7名の被験者に対して、この実験を実施したところ、刺激(A)に対する反応速度が通常の音声と比較して遅くなっていることが確認できた。
この結果に関して、一般化線形混合モデルを使用した統計的計算をおこなったところ、マッチング(無声化環境と生成された母音の間で矛盾が生じているか否か)要因が刺激(A)に対する反応時間に有意に(<.001)影響を与えていることが明らかになった。
2:2019年9月と10月に立命館大学の佐々木冠氏にご協力いただいて、近畿方言話者に対して、1と同様の実験をおこなった。その結果、近畿方言話者においても、共通語話者とほぼ同様の傾向がみられることがわかった。これは、従来の記述に基づいた予想とは必ずしも一致しない結果であり、今後、さらに研究を重ねる余地がある。
3:2019年12月に分担者白勢は、6才から12才の児童8名に対して、自然な発話中における母音無声化を観察した。観察は、パワーポイントを使用してディスプレイ上にストーリー性のある画像を提示して、そこに出現する事象(単語)の名称を被験者児童に自発的に発話してもらう方法でおこなった。この観察から、低学年(4名)の児童は中・高学年(4名)の児童と比較して無声化率が低いという結果から、無声化の獲得時期について一定の知見が得られた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K00601
ID情報
  • 課題番号 : 18K00601
  • 体系的課題番号 : JP18K00601