共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2023年3月

不安とホルモンについての文化神経心理学的検証ー日米女性比較データによる検証―

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
17K04328
体系的番号
JP17K04328
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

不安は、個人内特性であると共に、社会・文化の制約下での自己形成のプロセスである。したがって、個人の生理的レベル、質問紙などによる態度レベル、認知課題遂行時における脳神経レベルでの複層的分析が必要となる。本研究では、不安とホルモンの関連に着目し、これまで行ってきた自己関連情報のバイアスの文化心理学的視点の知見を加えて、不安のメカニズムを女性を対象とした、日米比較研究によって検証することを目的としている。具体的には以下の手続きで実施を計画した。
1)ネガティブな情報処理時の認知活動の脳波を分析し、2)月経周期におけるホルモンとの関連を分析し、日本、アメリカでの同一手続きによる実験から文化差の有無を検証し、3)不安のメカニズムの文化的モデルを検討する。
コロナ禍により、昨年度は研究方法の修正のための予備調査を行い、本年度実施する予定であったが、感染の再拡大により、予定していた脳波実験を行うことができなかった。都内の大学に通う参加条件を満たした女子大学生 23 名を対象に、35 日間継続して質問紙調査と基礎体温の測定を行うこととした。不安傾向を測定する質問項目として、主観的ストレス、不安覚醒、抑うつ得点を算出し、ホルモン指標には基礎体温を用いてエストロゲンが急減する排卵期を同定した。その結果、ストレスと抑うつに対してエストロゲン値の主効果が見出され、エストロゲンが急減してエストロゲン低値となる排卵後は、エストロゲン中値である排卵日よりも有意にストレス得点が高く、抑うつも、ストレスと同じ傾向を示していた。しかし、不安覚醒に影響はみられなかった。日本におけるネガティブ感情の強さとの関連によることが示唆された。実験課題を実施することができず、次年度に実施することとした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K04328
ID情報
  • 課題番号 : 17K04328
  • 体系的番号 : JP17K04328