共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

養育者支援によるADHD児と養育者間の問題改善に関わる神経科学的基盤の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K13107
体系的課題番号
JP18K13107
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,900,000円
(直接経費)
3,000,000円
(間接経費)
900,000円
資金種別
競争的資金

発達障害児の養育者の子育て困難の軽減・改善は,養育者の子どもに対する不適切な対応の予防につながる。そのためには発達障害児とその養育者の子育て困難の背景にある生物学的な脆弱性を特定し,子育て困難の軽減・改善に関連したメカニズムの解明が必要である。本研究では,特にADHDを持つ子どもとその養育者の子育て困難に焦点を当て,養育者に対する子育て支援方法であるペアレント・トレーニング(PT)の介入効果と,関連する脳神経科学的基盤の変化を縦断的アプローチにより検討する。
ADHDの診断を受けた児童とその母親が対象である。令和元年度内に,計26組に対してPTによる介入を実施し,開始直前,終了直後に計2回,子育て困難指標とADHD症状,またMRIを用いて脳機能・構造の計測を行った。尚、今回の解析対象は子どもの脳機能画像が取得できた10組で,母親の半数は先行してPTに参加(介入群:6名),残りの半数(待機群:4名)は介入群のPT終了3ヶ月後に改めて参加している。介入前後の変化は,介入群と待機群の比較検討を行った。
結果,PT受講群の母親の養育ストレス指標が有意に減少し,またADHD児の子どもの行動のチェックリストの内,「注意の問題」尺度が有意に減少していた。更にADHD児の脳機能については,受講群の子のみ母親のPT受講後に,受講前よりも前頭回内側部の活動が上昇していた。前頭回内側部は,社会的理解やコミュニケーション,自他の認知に関わることが知られている。これらから,PTによる母親への介入が母親の子に対する理解と養育環境の向上を導き,それにより子の社会的認知の上昇と機能的問題の軽減に結びついたと考えられる。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-18K13107/18K13107seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K13107
ID情報
  • 課題番号 : 18K13107
  • 体系的課題番号 : JP18K13107