2020年4月 - 2023年3月
魚油のオメガ3脂肪酸が不整脈予防効果を示す分子機序の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
心房細動の発症や持続は、心筋に発現するイオンチャネル遺伝子の発現異常による電気的リモデリングが重要な原因となるが、その詳細な成立機序については解明されていない。今年度の研究では、高脂肪食を負荷したマウスの心筋障害に対してEPAは保護作用を示すかどうかについて検証した。C57BL/6マウスに60%高脂肪食(HF)を8週間負荷し同時にEPAを8週間経口投与した際の心機能の変化をみた。HF群では有意な体重増加と心筋収縮力の低下が確認されたが、EPAの慢性投与により部分的な改善が認められた。HF群の心房筋、心室筋におけるIL-10, IL-1b, TNF-aのmRNA発現はControl群で有意に増加したが、EPAによる改善効果はIL-10 mRNA発現でのみ認められた。一方、心房筋におけるL型カルシウムチャネルの発現はEPA投与により有意に増加することが判明した。さらに、マウス心筋細胞を用いた細胞免疫染色の結果から、EPAの投与によりCav1.2発現は有意に増加することが確認された。以上の結果から、EPAは高脂肪食負荷により障害を受けた心筋細胞に対して、イオンチャネル遺伝子の発現を増加させることで心筋の電気的リモデリング抑制に作用する可能性が示唆された。
- ID情報
-
- 課題番号 : 20K11636
- 体系的課題番号 : JP20K11636
この研究課題の成果一覧
絞り込み
MISC
3-
日本食品科学工学会第70回記念大会講演要旨集 159-159 2023年8月 最終著者責任著者
-
日本生理学会第100回記念大会プログラム集 135-135 2023年3月 査読有り筆頭著者
-
第99回日本生理学会大会プログラム集 128-128 2022年5月 査読有り筆頭著者責任著者