2017年7月
術前内分泌療法を施行した高齢者進行副乳癌の1例
新潟医学会雑誌
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- 巻
- 131
- 号
- 7
- 開始ページ
- 433
- 終了ページ
- 439
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 新潟医学会
副乳癌は全乳癌の0.2〜0.6%と比較的まれな疾患である。また、近年、高齢者乳癌の一次治療として忍容性の高い内分泌療法が選択される機会が増えている。今回、内分泌療法施行後に根治切除を実施した高齢者副乳癌の1例を経験したので報告する。症例は96歳、女性。右腋窩腫瘤を主訴に受診し、画像検査で右腋窩に径2cmの腫瘤と多数の腫大リンパ節を認めた。腫瘤の針生検は、充実腺管癌、エストロゲン受容体陽性、プロゲステロン受容体陰性、HER2陽性であり、右副乳癌と診断した。高齢で手術を積極的には希望されず、抗HER2療法併用化学療法の実施は忍容性の面から困難と考え、内分泌療法を一次治療として選択した。原発巣、腋窩リンパ節ともに一旦は縮小したが、治療開始9ヵ月目にはリンパ節の一部が増大した。高齢ではあるが耐術可能と判断し、腋窩広範囲切除と右腋窩リンパ節郭清を施行した。術後3年が経過し、明らかな再発を認めずに生存中である。高齢者乳癌治療では、年齢、併存症、臓器機能等を考慮し、手術療法を含めたバランスのとれた治療を選択することが大切である。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0029-0440
- 医中誌Web ID : 2018063700
- CiNii Articles ID : 120006763295
- CiNii Books ID : AN00182415