共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

アトピー性皮膚炎の皮膚サイトカイン環境の網羅的解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K10237
体系的課題番号
JP17K10237
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

アトピー性皮膚炎(AD)の発症・病態維持に深く関わる皮膚角層バリア機能の低下は、フィラグリン発現の低下、角質細胞間脂質セラミドの減少などで生じるが、セラミドの脂肪酸側鎖の短鎖化が関与することも知られている。我々はIFN-γによる脂肪酸側鎖の短鎖化を培養ケラチノサイトとダニ抗原反復塗布による皮膚炎マウスで見いだした。代表的なTh2疾患であるADにおいて、Th1サイトカインIFN-γがAD患者の角層バリア異常に実際関与しているのか。それを非侵襲的に検証する目的で、ニトロセルロースメンブレンを皮膚表面に貼付して、皮膚の蛋白質を経皮的に採取し、抗体を用いて高感度に検出する「スキンブロッティング法」を用いて、AD 患者皮膚のIFN-γを含めたサイトカイン環境をin situ で網羅的に測定することを我々は目指した。各種基礎実験(抗体の特異性、濃度、反応時間等の条件検討)を終え、IL-4、IL-13、IL-31、IL-33、IFN-γ、TSLP、TNFα等をスクリーニングした。その結果、IL-4、IFN-γの特異的シグナルがAD患者皮疹部で捉えられた。健常コントロールでは陰性であった。一方、IL-13、IL-31、IL-33、TSLP、TNFαのシグナルは現在のところ捉えることができていない。AD皮疹部であってもIL-4、IFN-γシグナルが捉えられない場合もあった。一方、バリア機能の低下の指標としてアルブミンを調べたが、健常人では非常に弱いシグナルであったのに対し、AD皮疹部では程度の差こそあれすべて陽性であった。アルブミンのシグナルはメンブレン全体にびまん性に陽性であったのに対し、サイトカインのシグナルはドット状に陽性となることが多かった。その理由として皮膚への排出経路が異なることが示唆されるが、具体的な検証はまだできていない。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K10237
ID情報
  • 課題番号 : 17K10237
  • 体系的課題番号 : JP17K10237