論文

2003年11月

脳梗塞後に「ものの向き」に関する認知障害を示した両側後頭・頭頂葉接合部の皮質下損傷の1例

認知リハビリテーション
  • 藤永 直美
  • ,
  • 小賀野 操
  • ,
  • 加藤 元一郎
  • ,
  • 村松 太郎

2003
開始ページ
146
終了ページ
152
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)新興医学出版社

32歳女.脳梗塞発症後,「ものの向き」に関する認知障害を呈した.頭部MRI画像で両側後頭・頭頂葉接合部の皮質下に対象性に損傷を認めた.標準高次視知覚検査では,発症後6ヵ月に視覚失認が改善したにも関わらず,基本的な視知覚機能である「線分の傾き」は依然として知覚できないという症状が残存した.「線分の傾き」に関する検査では,2本の線分間の幅の弁別が困難で,また線画の形態的な知覚には障害がなかったが,「傾き」の線分が含まれている図形を模倣または模写することができなかった.「ものの向き」に関する検査では,回転している線画を正しく呼称したが,その回転している線画の向きがほとんどわからず,典型的な向きに修正することもできなかった.また,非典型的な向きに回転させた線画の模写は自発的に上向きの正立像になった.本例の「ものの向き」に関する認知障害はOrientation agnosiaの症状にほぼ合致すると考えられた

ID情報
  • 医中誌Web ID : 2005067741

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