共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

口腔癌微小環境における間葉系幹細胞を司令塔とした癌浸潤・転移誘導メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K09883
体系的課題番号
JP20K09883
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

令和3年度(研究計画2年目)は、ヒト口腔扁平上皮癌細胞とヒトMSCとの相互作用により各細胞内で誘導される癌細胞の浸潤・転移に関わる遺伝子発現変化についての調査を前年度から継続的に実施した。具体的には、液性因子のみが行き来するフィルターを介在させたヒト口腔扁平上皮癌由来HSC-3細胞やLMF-4細胞(HSC-3細胞から派生し、ヌードマウス移植時にHSC-3細胞よりも高い浸潤性と転移性を示す細胞)とヒトMSCであるUE7T-13細胞との共培養を実施し、各細胞の単独培養時と共培養時とではその発現量が大きく異なるサイトカインやケモカインを調査した。その結果、①-1) UE7T-13細胞の単独培養時にはその発現量は多いが、HSC-3細胞やLMF-4細胞との共培養下ではその発現量が低下するM1-マクロファージ分極化誘導性サイトカイン、①-2) HSC-3細胞の単独培養時にはその発現量は少ないが、UE7T-13細胞との共培養下ではHSC-3細胞においてその発現量が増強されるcancer progression増強型のサイトカインが判明した。また興味深いことに、このcancer progression増強型のサイトカインは、LMF-4細胞ではUE7T-13細胞との共培養下でなくともその発現量が増大していることも明らかとなった。一方、②-1) UE7T-13細胞の単独培養時にはその発現量は多いが、HSC-3細胞やLMF-4細胞との共培養下ではその発現量が低下するM1-マクロファージの走化性を高めてM1-マクロファージを腫瘍周囲にリクルートするケモカイン、②-2) HSC-3細胞やLMF-4細胞の単独培養ではその発現量は少ないが、UE7T-13細胞との共培養下ではHSC-3細胞やLMF-4細胞においてその発現量が増強されてこれら癌細胞の悪性度を高めるために働くケモカインが判明した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K09883
ID情報
  • 課題番号 : 20K09883
  • 体系的課題番号 : JP20K09883