Apr, 2021 - Mar, 2024
統合失調症関連遺伝子WDR3欠損による認知機能および疾患感受性への影響
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
- Grant number
- 21K15756
- Japan Grant Number (JGN)
- JP21K15756
- Grant amount
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- (Total)
- 3,640,000 Japanese Yen
- (Direct funding)
- 2,800,000 Japanese Yen
- (Indirect funding)
- 840,000 Japanese Yen
WD repeat domain 3 (WDR3) 遺伝子は、申請者らの分子遺伝学的研究において、女性の統合失調症との関連が認められた新規の統合失調症関連遺伝子である。中枢神経系における役割だけでなく脳領域ごとの発現も明らかとなっていなかったWDR3であるが、申請者の研究課題 (2019-2020年度,若手研究課題) において ① WDR3が海馬をはじめ脳に広く発現していること、② WDR3ホモノックアウトマウスは出生しないこと、③ WDR3ヘテロノックアウト (WDR3-HKO) マウスは顕著な表現型の変化を示さない一方で、海馬NMDA受容体NR2AおよびNR2BのmRNA発現量が有意に低下していることを報告した。本研究課題においては、WDR3の発現変化が認知機能および統合失調症の疾患感受性に及ぼす影響について検討している。
初年度は、海馬依存的機能の評価を含めた行動解析 (オープンフィールド試験、Y字型迷路試験、新奇物体認識試験) およびNMDA受容体遮断薬であるMK-801を投与した際の行動変化について評価を行なった。その結果、WDR3-HKOマウスは、オープンフィールド試験において僅かではあるが総移動距離が有意に増加しており、自発運動量が亢進している可能性が示唆された。Y字型迷路試験においては遺伝子型間で差は認められず、作業記憶の障害は検出されなかった。長期記憶を評価するための新奇物体認識試験においても記憶の障害は検出されなかったが、野生型マウスの新奇物体に対する選好度が57% (チャンスレベル: 50%) に留まっていることから、本系統のマウスでは試験の難易度が高かった可能性が考えられた。NMDA受容体遮断薬に対する感受性についても、遺伝子型による有意な行動変化は認められなかった。
初年度は、海馬依存的機能の評価を含めた行動解析 (オープンフィールド試験、Y字型迷路試験、新奇物体認識試験) およびNMDA受容体遮断薬であるMK-801を投与した際の行動変化について評価を行なった。その結果、WDR3-HKOマウスは、オープンフィールド試験において僅かではあるが総移動距離が有意に増加しており、自発運動量が亢進している可能性が示唆された。Y字型迷路試験においては遺伝子型間で差は認められず、作業記憶の障害は検出されなかった。長期記憶を評価するための新奇物体認識試験においても記憶の障害は検出されなかったが、野生型マウスの新奇物体に対する選好度が57% (チャンスレベル: 50%) に留まっていることから、本系統のマウスでは試験の難易度が高かった可能性が考えられた。NMDA受容体遮断薬に対する感受性についても、遺伝子型による有意な行動変化は認められなかった。
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- Grant number : 21K15756
- Japan Grant Number (JGN) : JP21K15756