共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年4月 - 2007年3月

大気中放射能をトレーサとした大気汚染物質の環境動態に関する研究

日本学術振興会  科学研究費補助金  基盤研究(B)
  • 飯田 孝夫

課題番号
16310039
体系的課題番号
JP16310039
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
13,700,000円
(直接経費)
13,700,000円
資金種別
競争的資金

東アジア域から北西太平洋への大気汚染物質の移流・拡散や原子力事故にともなう放射性物質の広域拡散の研究は、東アジア域の環境問題の重要な課題である。ラドンは大気汚染物質の良いトレーサである。東アジア域の中国の北京、青島、韓国のソウル、トンヘ、チェジュ、日本海上の隠岐、舳倉島、日本上空の松江、金沢、名古屋、浜岡、北西太平洋上の波照間島、八丈島、小笠原で大気中ラドン濃度観測網の整備と構築を行った。大気中ラドン濃度の測定結果は中国大陸、日本、太平洋上の順に低くなっており、ラドンモニタ設置場所の選定の意図を反映した結果となった。ソウル、浜岡、八丈島で2005年7月から2006年10月まで、ほぼ連続した大気中ラドン濃度を観測できた。浜岡での大気中ラドン濃度は2005年7月から10月まで太平洋の海洋性気塊が支配的に影響を及ぼし、12月下旬から2006年2月にかけては大陸由来のラドンが浜岡および八丈島の大気中ラドン濃度を支配していた。
大気中のラドンの長距離輸送モデルを開発し、東アジア域について計算を行った。モデルによるラドン濃度の計算値を、八丈島、波照間島、名古屋および北京における2004年1月から12月までの測定値と比較・検討した。地上ラドン濃度計算値は各測定局の測定値に対して系統的な過小計算の傾向が見られた。その要因としては、(1)鉛直拡散係数の過大評価、(2)計算領域外からのラドン流入、(3)鉛直風速の内挿法、(4)ラドンフラックス評価法、がある。これらの要因をそれぞれ検討した結果、最終的な予測性能は大幅に改善された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16310039
ID情報
  • 課題番号 : 16310039
  • 体系的課題番号 : JP16310039