2017年5月3日
近現代の日本におけるジャータカの絵本化と新刊絵本『あわてんぼうウサギ』
第20回絵本学会大会 絵本学会20周年記念大会
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 口頭発表(一般)
- 主催者
- 絵本学会
- 開催地
- フェリス女学院大学緑園キャンパス
ジャータカとは、仏教の教主である釈迦が前世で為した善行功徳を伝える古代インドの説話である。日本には、漢訳仏典を通して伝来し、土着化していったが、明治期にドイツ文学の影響を受けた「お伽噺」としてインド説話が再話されると、ジャータカは、外国文学として位置づけられる。大正期になると芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をはじめとした仏教童話が発表され、ジャータカは、キリスト教徒であった巌谷小波や蘆谷蘆村の口演童話活動、浄土宗の鈴木積善による仏教日曜学校運動の展開と共に伝道教材として注目される。戦後出版されたジャータカ絵本の作者には、口演童話や仏教日曜学校に関与した内山憲尚等の名前があり、小波・蘆村・鈴木の流れは絵本に継承される。
2017年3月には、中川素子の再話と、モンゴル人画家バーサンスレン・ボロルマーの絵による『あわてんぼうウサギ』が刊行されており、最新の作品では、原話本来の物語性を尊重しながら新しい表現を試みている。
2017年3月には、中川素子の再話と、モンゴル人画家バーサンスレン・ボロルマーの絵による『あわてんぼうウサギ』が刊行されており、最新の作品では、原話本来の物語性を尊重しながら新しい表現を試みている。