共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

生活習慣変動が腸内細菌叢と代謝物に及ぼす影響:N-of-1交差介入試験

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H04117
体系的課題番号
JP20H04117
配分額
(総額)
17,550,000円
(直接経費)
13,500,000円
(間接経費)
4,050,000円

本研究では、一人の被験者の1年間の糞便採取から得られる腸内細菌叢群衆構造と、24時間365日の身体活動や睡眠と食事・静養摂取のデータを収集し詳細に解析することで、「野菜摂取量、たんぱく質摂取量、運動量の増加は腸内細菌群集構造を変化させる」との仮説の妥当性を検討することを目的にした。
2021年9月1日から2022年8月31日までの1年間約52週間にわたり、一人の被験者に対し、野菜摂取増加、たんぱく質摂取増加、運動量増加の1週(7日)単位の介入と除去を各6回ずつ繰り返し、その間の全ての糞便と被験者の身体状況と24時間365日の生活習慣を観察・記録することで、生活習慣変動が腸内細菌叢群集構造の個人内変動に及ぼす影響を経時的に明らかにする、N-of-1交差介入試験を実施した。2022年4月27日まで順調に研究が進行中であり、その途中経過を報告する。
ウエアラブルデバイスによる身体活動、睡眠記録及び栄養解析アプリによる食事記録は、1日の欠損もなく239日間の観察が完了しており、継続している。また、239日間のうち194回の排便観察の結果、発酵野菜ペーストを用いた野菜摂取量増加、エネルギー比で20%以上、摂取量で100g/日以上のタンパク質摂取増加、1日10kmのランニングによる運動量増加の3つの介入期間では、普段の生活を送る対照期間および介入の効果を除去するための洗い出し期間と比較して、排便頻度の増加、ブリストルスケールにおける良いと判定される3-5の便形状の割合の増加など、より良い排便を導くことが明らかとなった。また、165回分の便(排便のあった日の最初の排便)からDNAを抽出し、16SrRNA法でシーケンスが完了し、現在fastqファイルの調整ならびに全便の腸内細菌叢群衆構造を解析中である。
今後野菜摂取量の増加と腸内細菌叢や排便状況の変化との関連を詳細検討していく予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H04117
ID情報
  • 課題番号 : 20H04117
  • 体系的課題番号 : JP20H04117