2010年4月 - 2011年3月
東アジア都市における「不法占拠」地区消滅後の持続的コミュニティに関する研究
日本学術振興会 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
本年度は、これまで調査を続けてきた、戦後東京都区部および広島市における「不法占拠」地区の状況確認とその後のコミュニティの変容状況を明らかにするため、新聞記事や行政資料、そして関連資料や地図資料の収集を行なった。これまでの研究成果と合わせて本年度の調査により、次年度以降に論文を執筆する準備が整ったと思われる。また、申請書では含めていなかった研究対象として、今年度は、河川敷の「不法占拠」ということで消滅した、大阪桜ノ宮にある通称「龍王宮」に関する調査も行なった。これは、自身も運営委員として関わる「こりあんコミュニティ研究会」の「龍王宮の記憶を記録するプロジェクト」として行なうもので、在阪済州島出身女性たちの祈りの場「龍王宮」の歴史とそれにまつわる人々の記録を記録化するものである。その成果を、人文地理学会例会、大阪市立大学の国際シンポでの報告し、また雑誌「居住福祉研究」にも掲載した。このほか、次年度以降の東アジア都市での調査、研究を見越して、2011年3月には台湾台北市で行われた大阪市立大学都市研究プラザ台北サブセンター開設記念ワークショップに参加し、社会的不利地域(台北市萬華区・中正区界隈他)の歴史的経緯を含めた都市形成・都市問題及びまちづくりに関する調査も行なった。今回のワークショップや調査に参加することで、台湾台北市における居住問題の状況や都市形成の変容について把握することが出来、今後の研究によりよい影響を与えたことができた。また、ワークショップでは韓国や香港の研究者も参加しており、東アジアの研究者との交流ができた点も成果だと思われる。
- ID情報
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- 課題番号 : 10J10007
- 体系的課題番号 : JP10J10007