本山秀明

J-GLOBALへ         更新日: 18/11/08 10:34
 
アバター
研究者氏名
本山秀明
 
モトヤマ ヒデアキ
ハンドル
hmoto
URL
https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000020210099/
所属
国立極地研究所
部署
国立極地研究所 研究教育系極地工学研究グループ、気水圏研究グループ、アイスコア研究センター
職名
教授
学位
理学博士、1988年(北海道大学)
その他の所属
総合研究大学院大学複合科学研究科極域科学専攻
科研費研究者番号
20210099
ORCID ID
E-6103-2013

プロフィール

研究課題と活動状況: 1.国内の季節積雪地帯の融雪・流出過程に関する研究とアジア高山域の水循環に関する研究

 北海道母子里流域での気象・水文観測に基づき、流域融雪過程に熱収支法、流出過程にタンクモデルを適用し、厳冬期から融雪期の水循環機構の研究および融雪流出の予測を行った。さらに、降水量と気温から積雪深変化を再現する方法を考案した。国内での観測・研究と平行し、ネパールヒマラヤのランタン氷河流域において通年の水文・気象観測をおこない、氷河流域での水循環を明らかにした。通年の観測をもとに、氷河流域全体の融雪・流出モデルを作成した。

2.極域の水循環に関する研究

 地球規模雪氷圏の水循環解明を中心に研究を進めてきた。両極で浅層及び/深層掘削コアを採取し、コア解析から古環境情報を持つシグナルを抽出することや氷床形成機構の研究も行っている。また降雪中に含まれる不純物が積雪中へ変質しながら取り込まれる過程に注目して研究している。すなわち北極ではスバールバル北東島氷河のコア掘削から過去600年間の気候・環境変動の復元と、北極域の様々な地点での観測から現在の堆積環境を明らかにした。南極では沿岸からドームふじ基地まで1000kmの輸送ルート沿いに質量収支観測や積雪サンプリングによる氷床への物質輸送研究を行った。またドームふじ基地での降雪や積雪の通年観測を実施し、気候・環境シグナルが氷床内に保存される過程を研究することで、コア解析から得られる見かけのデータから、元の気候・環境シグナルを抽出することを目指している。

3.雪氷コア掘削技術の進展と掘削活動

 極域における過去数千年から数百年の気候・環境変動を解明するための100-200m級の浅層掘削は、北極スバールバル北東島(1995、1999)、南極内陸域ドームふじ基地(1994、1997、2001)、ドーム近傍(2010、2011)及びドーム南地点(1997)、中流域MD364地点(2001)及びYM85地点(2002)で実施した。深層コア掘削はグリーンランドでNGRIP計画に参加し(1996、1999、2003)、掘削を担当するとともに掘削技術を高めた。ドームふじでの深層掘削に関しては、セールロンダーネ山地氷河テスト掘削(1990)、グリーンランドでの実験(1991)、パイロット孔掘削とケーシング(1993)、越冬してのドリル回収作業(1997)、第2期パイロット孔掘削とケーシング(2001)と続き、氷床全層掘削を目指して2003/2004から2006/2007の4シーズンで3035.22mまでの深層掘削に成功した。

4.氷床コア研究
 極域の氷床コア研究や雪氷観測から数100年~数十万年前までの気候・環境変動の復元やその変動気候についての研究を進めている。

極域観測歴:
昭和57年8月~11月:ネパールヒマラヤ学術調査
昭和61年2月~5月:ネパールヒマラヤ学術調査
昭和62年8月:ネパールヒマラヤ学術調査
昭和63年5月:アラスカ永久凍土帯での融雪調査南極歴
平成 元年11月~平成 2年3月:第31次日本南極地域観測隊員
平成3年6月~7月:グリーンランド氷床掘削
平成 4年11月~平成 6年3月:第34次日本南極地域観測隊員
平成6年8月~9月:スバールバル雪氷調査
平成7年5月~6月:スバールバル北東島氷河掘削
平成8年7月~8月:北グリーンランド氷床掘削
平成 8年11月~平成10年3月:第38次日本南極地域観測隊員
平成11年4月~6月:スバールバル北東島氷河掘削
平成11年6月~8月:北グリーンランド氷床掘削
平成12年11月~平成14年3月:第42次日本南極地域観測隊員
平成15年6月:北グリーンランド氷床掘削
平成15月11月~平成16年2月:第45次日本南極地域観測隊員(副隊長)
平成16年11月~平成17年2月:第46次日本南極地域観測隊員(副隊長)
平成17年10月~平成18年2月:第47次日本南極地域観測隊員(副隊長)
平成18年11月~平成19年2月:第48次日本南極地域観測隊員(副隊長)
平成19年7月:グリーンランド氷河調査
平成21年11月~平成22年3月:第51次日本南極地域観測隊員
平成22年11月~平成23年3月:第52次日本南極地域観測隊員
平成23年7月~8月:グリーンランド氷河調査
平成24年11月~平成25年2月:第54次日本南極地域観測隊員
平成26年4月~6月:グリーンランド氷河調査
平成27年12月~平成28年3月:第57次日本南極地域観測隊員

研究分野

 
 

経歴

 
2009年
 - 
現在
情報・システム研究機構国立極地研究所 教授
 
2006年
 - 
2009年
国立極地研究所 研究教育系 教授
 
2004年
 - 
2005年
国立極地研究所 研究教育系 助教授
 
2000年
 - 
2005年
国立極地研究所 助教授
 
1998年
 - 
2003年
国立極地研究所 研究系 助教授
 

委員歴

 
 
   
 
(社)日本雪氷学会 理事(平成15年度から平成18年度)、編集委員、関東以西支部理事(平成19年度から20年度)、極地雪氷分科会会長、幹事
 
 
   
 
日本水資源・水文学会 編集委員
 
 
   
 
北海道大学低温科学研究所共同研究委員会委員  平成11年度-12年度、平成17年度-18年度
 
 
   
 
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・海外学術総括班専門委員 平成18年度-現在
 
 
   
 
日本学術会議・IGBP・WCRP合同分科会・CliC小委員会委員 平成19年度
 

受賞

 
1997年
日本雪氷学会技術賞(1997)
 
1998年
日本雪氷学会平田賞(1998)
 
2005年
第31回山崎賞(2005)
 
2009年
日本気象学会堀内賞(2009)
 
2010年
文部科学省技術賞(2010)
 

論文

 
Ryu Uemura, Hideaki Motoyama, Valerie Masson-Delmotte, Jean Jouzel, Kenji Kawamura, Kumiko Goto-Azuma, Shuji Fujita, Takayuki Kuramoto, Motohiro Hirabayashi, Takayuki Miyake, Hiroshi Ohno, Koji Fujita, Ayako Abe-Ouchi, Yoshinori Iizuka, Shinichiro Horikawa, Makoto Igarashi, Keisuke Suzuki, Toshitaka Suzuki, and Yoshiyuki Fujii
Nature Communications   9(961)    2018年3月   [査読有り]
Takahashi, K., Nakai, Y., Motizuki, Y., Ino, T., Ito, S., Ohkubo, S.B., Minami, T., Takaku, Y., Yamaguchi, T., Tanaka, M., Motoyama, H.
Rapid Commun Mass Spectrom      2018年   [査読有り]
Kazushi Noro, Shohei Hattori, Ryu Uemura, Kotaro Fukui, Motohiro Hirabayashi, Kenji Kawamura, Hideaki Motoyama, Norimichi Takenaka and Naohiro Yoshida.
Geochemical Journal.   52(2) 7-14   2018年   [査読有り]
Iizuka, Y., Uemura, R., Fujita, K., Hattori, S., Seki, O., Miyamoto, C. Suzuki, T., Yoshida, N., Motoyama, H., Matoba, S.
Journal of Geophysical Research: Atmospheres   123 574-589   2018年   [査読有り]
PAGES2k Consortium: Julien Emile-Geay, Nicholas P. McKay, Darrell S. Kaufman, Lucien von Gunten, Jianghao Wang, Kevin J. Anchukaitis, Nerilie J. Abram, Jason A. Addison, Mark A.J. Curran, Michael N. Evans, Benjamin J. Henley, Zhixin Hao, Belen Martrat, Helen V. McGregor, Raphael Neukom, Gregory T. Pederson, Barbara Stenni, Kaustubh Thirumalai, Johannes P. Werner, Chenxi Xu, Dmitry V. Divine, Bronwyn C. Dixon, Joelle Gergis, Ignacio A. Mundo, Takeshi Nakatsuka, Steven J. Phipps, Cody C. Routson, Eric J. Steig, Jessica E. Tierney, Jonathan J. Tyler, Kathryn J. Allen, Nancy A.N. Bertler, Jesper Björklund, Brian M. Chase, Min-Te Chen, Ed Cook, Rixt de Jong, Kristine L. DeLong, Daniel A. Dixon, Alexey A. Ekaykin, Vasile Ersek, Helena L. Filipsson, Pierre Francus, Mandy B. Freund, Massimo Frezzotti, Narayan P. Gaire, Konrad Gajewski, Quansheng Ge, Hugues Goosse, Anastasia Gornostaeva, Martin Grosjean, Kazuho Horiuchi, Anne Hormes, Katrine Husum, Elisabeth Isaksson, Selvaraj Kandasamy, Kenji Kawamura, K. Halimeda Kilbourne, Nalan Koç, Guillaume Leduc, Hans W. Linderholm, Andrew M. Lorrey, Vladimir Mikhalenko, P. Graham Mortyn, Hideaki Motoyama, Andrew D. Moy, Robert Mulvaney, Philipp M. Munz, David J. Nash, Hans Oerter, Thomas Opel, Anais J. Orsi, Dmitriy V. Ovchinnikov, Trevor J. Porter, Heidi A. Roop, Casey Saenger, Masaki Sano, David Sauchyn, Krystyna M. Saunders, Marit-Solveig Seidenkrantz, Mirko Severi, Xuemei Shao, Marie-Alexandrine Sicre, Michael Sigl, Kate Sinclair, Scott St. George, Jeannine-Marie St. Jacques, Meloth Thamban, Udya Kuwar Thapa, Elizabeth R. Thomas, Chris Turney, Ryu Uemura, Andre E. Viau, Diana O. Vladimirova, Eugene R. Wahl, James W.C. White, Zicheng Yu and Jens Zinke
SCIENTIFIC DATA   4:170088    2017年2月   [査読有り]

Misc

 
鈴木 香寿恵, 山内 恭, 川村 賢二, 本山 秀明
大会講演予講集   98    2010年9月
本山 秀明
エアロゾル研究   25(3) 247-255   2010年
The accumulation rate, aerosol flux, and air temperature fluctuation can be determined from the study of ice cores drilled through ice sheets and glaciers. The aerosol which gives climate and environmental information is accumulated on the surface...
三宅 隆之, 平林 幹啓, 植村 立, 東 久美子, 本山 秀明
南極資料   53(3) 259-282   2009年11月
極域氷床深層コアにおける化学成分分析用試料について,イオン成分と固体微小粒子(ダスト)の汚染除去のための前処理方法の検討を行った.超純水でのブランク値がppbレベル以下の清浄なポリ袋と,超純水から作成した模擬コアを用いて,切削および融解による前処理条件を検討した.その結果,当初高濃度の汚染が見られた酢酸を含むイオン成分とダストについて,切削処理により試料外周の約3 mm,融解処理により試料重量の約30%を除去することで,間氷期のドームふじ氷床コアで想定される,イオン濃度で数オg l<-1>...
本山 秀明
第四紀研究 = The Quaternary research   48(3)    2009年6月

書籍等出版物

 
南極・北極の百科事典
国立極地研究所編(分担)
丸善   2004年   
雪と氷の事典
(社)日本雪氷学会(分担)
朝倉書店   2005年   
雪氷辞典
日本雪氷学会編(分担)
古今書院   1990年   
アイスコアー地球環境のタイムカプセル 極地研ライブラリー
藤井理行・本山秀明(編著)
成山堂書店   2011年   

講演・口頭発表等

 
極域のアイスコアから明らかになってきた過去の気候・環境変動 [招待有り]
本山秀明
気候変動シンポジウム ~激変する地球と災害リスク~   2018年3月17日   
Dating of 30m ice cores drilled by Japanese Antarctic Research Expedition and environmental change study
Hideaki Motoyama, Toshitaka Suzuki, Kotaro Fukui, Hiroshi Ohno, Yu Hoshina, Motohiro Hirabayashi, Shuji Fujita
2017 AGU Fall Meeting, New Orleans, 10-15 December, 2017.   2017年12月   
国内外の氷コア掘削メカニカルドリルと検層装置について
本山秀明,古崎睦,高田守昌,的場澄人,高橋昭好,田中洋一,宮原盛厚,新堀邦夫,森章一,川村賢二
雪氷研究大会(2017・十日町)、十日町市、2017.9.24-9.27.   2017年9月   
極域での無人気象観測:グリーンランドSIGMAと南極JARE
本山秀明,青木輝夫,庭野匡思,的場澄人,杉山慎,山口悟,平沢尚彦,川村賢二,三戸洋介,藤原宏章,小野文睦,森陽樹
雪氷研究大会(2017・十日町)、十日町市、2017.9.24-9.27.   2017年9月   
JARE54にて採取した30mアイスコアの年代決定と環境変動
本山秀明,鈴木利孝,福井幸太郎,大野浩,保科優,平林幹啓,藤田秀二
雪氷研究大会(2017・十日町)、十日町市、2017.9.24-9.27   2017年9月   

競争的資金等の研究課題

 
南極に保存された古代試料のゲノム解析による氷期サイクルの生物相変遷
日本学術振興会: 科学研究費補助金(基盤研究(A))
研究期間: 2018年4月 - 2021年3月    代表者: 本山秀明
文部科学省: 科学研究費補助金(基盤研究(S))
研究期間: 2009年 - 2013年    代表者: 本山 秀明
南極氷床から採取したドームふじ氷床アイスコアの解析から正確な年代軸を持つ地球環境変動を明らかにし、地球環境史研究の基準となる気候・環境変動記録を提供することを目的として研究を進めた。過去72万年間をカバーする3035m長のアイスコアを解析して、精密年代をつけた化学成分や水同位体のデータセットについては、ほぼ完成した。
大規模な気候変動のメカニズムについて研究を進めた。例えば硫酸塩エアロゾルが氷期-間氷期の気温変動に大きく寄与していたことを示した。また氷期の硫酸イオンの起源として、従来考えら...
文部科学省: 科学研究費補助金(基盤研究(B))
研究期間: 2003年 - 2005年    代表者: 本山 秀明
基本的なコア情報となるコアの年代に関しては、火山噴火の痕跡を電気伝導度と非海塩起源硫酸濃度の変動から検出することで概ね5年以内の精度で決定した。このドームふじコアに関しては、1993年に44m離れた地点にて同様な浅層コアが採取されており、この画者の比較から興味ある研究成果が得られた。特に酸素同位体組成の変動に関しては、一様に思われているドームふじの堆積環境が数十m離れてしまうと異なる結果として現れてしまい・、堆積時と堆積後の変化に局所的な影響が大きい。化学成分では同様な変動と異なる変動を示...
文部科学省: 科学研究費補助金(基盤研究(C))
研究期間: 2000年 - 2001年    代表者: 本山 秀明, 古川 晶雄
本研究において、南極氷床上で採取されたH231沿岸コア(1980年、90m)とMD364(2001年、80m)ドームふじ南方内陸コア(1997年採取、56m深)、H72沿岸コア(1998年、73m)の計4本の雪氷コアの基本解析を終了した。基本解析では、層位、密度、通気度、固体電気伝導度、酸素同位体比、化学主成分解析、放射性同位体解析(トリチウム)を行った。またH72コアについては研究解析として、化学主成分の高時間分解能解析を行った。H72コアにおいては、1)H72に設置した雪尺の過去26年...
科学研究補助金の研究代表者 平成3年度奨励研究(A)研究代表者 雪氷コアに含まれる気候変動の指標に関する研究 -特に氷板形成のメカニズムに注目して-

社会貢献活動

 
極域のアイスコアから明らかになってきた過去の気候・環境変動
【講師】  日本地質学会関東支部  気候変動シンポジウム ~激変する地球と災害リスク~  2018年3月17日
南極や北極の氷から地球の歴史を探る
【講師】  青森県環境教育促進強化事業  南極・北極からの贈り物~極地観測から地球環境を考えよう~  2017年11月25日
極地が仕事-気候変動と地球温暖化
【講師】  春日部高校SSH特別講演会  2018年9月19日
「氷に閉じ込められた太古の地球」
【講師】  千葉市民文化大学  2015年9月9日
「極地とつきあう」
【講師】  高田高校未来セミナー  2014年7月22日

その他

 
(研究活動の展望)

ドームふじ基地にて3035m深の氷床深層掘削に成功し、その氷床深層コアを国内に持ち帰った。これは過去72万年に及ぶ地球環境変動史を明らかにする貴重な試料である。気候・環境変動の概要は明らかになりつつあるが、より高時間分解能での研究・解析は5年以上の期間が必要であり、限られた資源を合理的に使って質のよい研究を目指す。この深層コア研究には多くの研究者、研究機関がかかわり、研究テーマも多種多様である。特に従来はコア研究としてはほとんど無関係であったアイスコア微生物研究グループや宇宙線生成核種研究グループとの共同研究も重要になる。これらを総合的な観点で研究を推進する。また新領域融合研究センターの新領域融合プロジェクト「地球生命システム」の研究分担者であり、コア掘削及び雪氷研究者として融合研究を進める。さらに極域の物質循環研究も大きな研究テーマである。特に近年の地球環境変動に雪氷圏が果たす役割を研究する。

(自己評価)

ドームふじ基地での深層掘削終了とともに、南極観測隊への参加はひとまずなくなったので、ようやく地に足をつけた研究を進めることが出来るようになった。この数年間は南極での深層掘削準備や現地参加などで研究活動は休止状態であったが、観測データは多数あり、精力的に研究を進めている。データ公開に努めたい。