基本情報

所属
国立極地研究所 国立極地研究所 研究教育系極地工学研究グループ、気水圏研究グループ、アイスコア研究センター 教授
総合研究大学院大学複合科学研究科極域科学専攻 教授・専攻長
理化学研究所 客員研究員
学位
理学博士、1988年(北海道大学)

研究者番号
20210099
J-GLOBAL ID
200901043169095360

外部リンク

研究課題と活動状況: 1.国内の季節積雪地帯の融雪・流出過程に関する研究とアジア高山域の水循環に関する研究

北海道母子里流域での気象・水文観測に基づき、流域融雪過程に熱収支法、流出過程にタンクモデルを適用し、厳冬期から融雪期の水循環機構の研究および融雪流出の予測を行った。さらに、降水量と気温から積雪深変化を再現する方法を考案した。国内での観測・研究と平行し、ネパールヒマラヤのランタン氷河流域において通年の水文・気象観測をおこない、氷河流域での水循環を明らかにした。通年の観測をもとに、氷河流域全体の融雪・流出モデルを作成した。

2.極域の水循環に関する研究

地球規模雪氷圏の水循環解明を中心に研究を進めてきた。両極で浅層及び/深層掘削コアを採取し、コア解析から古環境情報を持つシグナルを抽出することや氷床形成機構の研究も行っている。また降雪中に含まれる不純物が積雪中へ変質しながら取り込まれる過程に注目して研究している。すなわち北極ではスバールバル北東島氷河のコア掘削から過去600年間の気候・環境変動の復元と、北極域の様々な地点での観測から現在の堆積環境を明らかにした。南極では沿岸からドームふじ基地まで1000kmの輸送ルート沿いに質量収支観測や積雪サンプリングによる氷床への物質輸送研究を行った。またドームふじ基地での降雪や積雪の通年観測を実施し、気候・環境シグナルが氷床内に保存される過程を研究することで、コア解析から得られる見かけのデータから、元の気候・環境シグナルを抽出することを目指している。

3.雪氷コア掘削技術の進展と掘削活動

極域における過去数千年から数百年の気候・環境変動を解明するための100-200m級の浅層掘削は、北極スバールバル北東島(1995、1999)、南極内陸域ドームふじ基地(1994、1997、2001)、ドーム近傍(2010、2011)及びドーム南地点(1997)、中流域MD364地点(2001)及びYM85地点(2002)で実施した。深層コア掘削はグリーンランドでNGRIP計画に参加し(1996、1999、2003)、掘削を担当するとともに掘削技術を高めた。ドームふじでの深層掘削に関しては、セールロンダーネ山地氷河テスト掘削(1990)、グリーンランドでの実験(1991)、パイロット孔掘削とケーシング(1993)、越冬してのドリル回収作業(1997)、第2期パイロット孔掘削とケーシング(2001)と続き、氷床全層掘削を目指して2003/2004から2006/2007の4シーズンで3035.22mまでの深層掘削に成功した。

4.氷床コア研究
極域の氷床コア研究や雪氷観測から数100年~数十万年前までの気候・環境変動の復元やその変動気候についての研究を進めている。

極域観測歴:
昭和57年8月~11月:ネパールヒマラヤ学術調査
昭和61年2月~5月:ネパールヒマラヤ学術調査
昭和62年8月:ネパールヒマラヤ学術調査
昭和63年5月:アラスカ永久凍土帯での融雪調査南極歴
平成 元年11月~平成 2年3月:第31次日本南極地域観測隊員
平成3年6月~7月:グリーンランド氷床掘削
平成 4年11月~平成 6年3月:第34次日本南極地域観測隊員
平成6年8月~9月:スバールバル雪氷調査
平成7年5月~6月:スバールバル北東島氷河掘削
平成8年7月~8月:北グリーンランド氷床掘削
平成 8年11月~平成10年3月:第38次日本南極地域観測隊員
平成11年4月~6月:スバールバル北東島氷河掘削
平成11年6月~8月:北グリーンランド氷床掘削
平成12年11月~平成14年3月:第42次日本南極地域観測隊員
平成15年6月:北グリーンランド氷床掘削
平成15月11月~平成16年2月:第45次日本南極地域観測隊員(副隊長)
平成16年11月~平成17年2月:第46次日本南極地域観測隊員(副隊長)
平成17年10月~平成18年2月:第47次日本南極地域観測隊員(副隊長)
平成18年11月~平成19年2月:第48次日本南極地域観測隊員(副隊長)
平成19年7月:グリーンランド氷河調査
平成21年11月~平成22年3月:第51次日本南極地域観測隊員
平成22年11月~平成23年3月:第52次日本南極地域観測隊員
平成23年7月~8月:グリーンランド氷河調査
平成24年11月~平成25年2月:第54次日本南極地域観測隊員
平成26年4月~6月:グリーンランド氷河調査
平成27年12月~平成28年3月:第57次日本南極地域観測隊員

論文

  255

MISC

  154

書籍等出版物

  8

講演・口頭発表等

  149

共同研究・競争的資金等の研究課題

  5

社会貢献活動

  43

その他

  1
  • (研究活動の展望) ドームふじ基地にて3035m深の氷床深層掘削に成功し、その氷床深層コアを国内に持ち帰った。これは過去72万年に及ぶ地球環境変動史を明らかにする貴重な試料である。気候・環境変動の概要は明らかになりつつあるが、より高時間分解能での研究・解析は5年以上の期間が必要であり、限られた資源を合理的に使って質のよい研究を目指す。この深層コア研究には多くの研究者、研究機関がかかわり、研究テーマも多種多様である。特に従来はコア研究としてはほとんど無関係であったアイスコア微生物研究グループや宇宙線生成核種研究グループとの共同研究も重要になる。これらを総合的な観点で研究を推進する。また新領域融合研究センターの新領域融合プロジェクト「地球生命システム」の研究分担者であり、コア掘削及び雪氷研究者として融合研究を進める。さらに極域の物質循環研究も大きな研究テーマである。特に近年の地球環境変動に雪氷圏が果たす役割を研究する。 (自己評価) ドームふじ基地での深層掘削終了とともに、南極観測隊への参加はひとまずなくなったので、ようやく地に足をつけた研究を進めることが出来るようになった。この数年間は南極での深層掘削準備や現地参加などで研究活動は休止状態であったが、観測データは多数あり、精力的に研究を進めている。データ公開に努めたい。