2018年
金融史研究におけるアムステルダム銀行の位置 (名城邦夫教授 退職記念号)
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University
- 巻
- 55
- 号
- 2
- 開始ページ
- 83
- 終了ページ
- 95
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.15012/00001111
- 出版者・発行元
- 名古屋学院大学総合研究所
本稿の目的は,アムステルダム銀行に関する先行諸研究を整理し,金融史研究における同行の現在の位置を確認することである。かつて,アムステルダム銀行は「古い金融技術の終着点」や「伝統への回帰」などと形容され,イングランド銀行のような中央銀行ではないと考えられてきた。ところが,こうした考えとは異なる角度からアムステルダム銀行を捉える研究により,同行が二つの計算貨幣の創出と預金受領証の導入というイノベーションを通じて,国際的には安定した通貨を供給しつつオランダ経済と国際経済とを遮断することを可能にし,国内的には公開市場操作を通じて通貨価値の安定性を実現させたという姿が明らかにされている。この姿から,アムステルダム銀行は「基軸通貨」バンク・フローリンを供給する「世界の銀行」として,また「汎ヨーロッパ多角的決済システム」の中核として,そして「最初の中央銀行」として位置づけられている。
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- ID情報
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- DOI : 10.15012/00001111
- ISSN : 0385-0048
- CiNii Articles ID : 120006537663
- CiNii Books ID : AN00179487