共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

対数拡散方程式に現れる特異性と伝播現象の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K03708
体系的課題番号
JP20K03708
配分額
(総額)
3,250,000円
(直接経費)
2,500,000円
(間接経費)
750,000円

本年度は単安定の反応項をもつ対数拡散方程式のパルス型の進行波解を考察し,無限遠で指数的なオーダーで減衰する任意の解の挙動を完全に分類し,その解挙動を精密に解析した.具体的に述べると以下のような解の振る舞いが得られる.
[A]パルス型進行波が存在しないパラメータの場合:任意の解は有限時間で消滅する.
[B]パルス型進行波が存在するパラメータの場合:大きな解は安定な平衡点に収束しその遷移層がフロント型進行波の速度で広がる.そして小さな解は有限時間で潰れるが,その漸近挙動は自己相似変換を施すと反応項がない対数拡散方程式と同じである.またそれらの境目にある解はパルス型進行波に漸近する.
これらは東京工業大学の柳田英二氏,岡山大学の物部治徳氏との共同研究である.我々は放物型方程式のスツルムの交点数理論を用いて全域解の分類に関するLiouville型定理を確立し,解のダイナミクスを特徴付けることに成功した.またこれまで本研究課題で考察してきた全ての問題を統一理論的に証明することが可能になった(論文投稿済).
<BR>
全域解の研究に関す新たな問題として,エネルギー構造があるが比較原理が使えないような連立系の反応拡散方程式に対して,全域解のLiouville型定理を確立した.我々が得たLiouville型定理には未知関数の個数や拡散係数および空間次元に制約がない.応用としてたとえばDucrot-Giletti-Matano(2019)らの研究で未解決になっていた,拡散係数が一般の場合の,反応拡散方程式の伝播現象の漸近挙動の問題に決着がつく.また,Ducrot-Guo(2018)らの被食捕食系の初期値問題の解の空間一様化現象に関する既存の結果に対して,空間次元の制約を取り除くことが可能である.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K03708
ID情報
  • 課題番号 : 20K03708
  • 体系的課題番号 : JP20K03708

この研究課題の成果一覧

論文

  8

講演・口頭発表等

  32