2021年4月 - 2024年3月
欺瞞による無知の行為の有責可能性についての哲学と法学の融合的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
無知のもとで行われた悪しき行為はやむをえないこととして責任を追及されない場合があるが、それでも害をもたらしたものとして道徳的責任を問うことができる。他方、法的責任においては「法の不知はこれを許さず」という原則がある。行為の動機に関して無知である部分が見られる以上、「やむをえない」と「法の不知はこれを許さず」の中間的位置に属する責任のあり方が望ましいと考える。単に「知らない」といっても、本当に全く認識が存在しないことを意味することもあれば、本当は知る必要があったにもかかわらず真実から目をそむけた結果生じる「欺瞞的無知」もあり、この種の無知は先に挙げた「やむをえない」としてのみならず、「法の不知は許さず」の適用事例としても十分に取り扱うのが困難である。
本研究は、この「欺瞞的無知」から生じた行為にどのような責任を課すか、責任を帰属させる基準はどこにあるかという問題に対し、心の哲学における自己欺瞞の研究成果という「行為の動機の内的側面」と、行為を律する法および規範の「行為の動機の外的側面」の双方からアプローチし、行為者が無知である場合の責任の帰属基準を明確にすることで、いわれのない非難や刑罰の機会を少しでも減少させることを可能にする理論の構築を目指す。
1年目である本年度は、無知による行為の責任は意志の弱さと怠慢性に由来すると主張するギデオン・ローゼンの主張の是非を問う発表を日本科学哲学会において行った。また、研究協力者である吉良貴之氏とともに「法と哲学の責任研究会」を立ち上げ、吉良氏および若手研究者3名による報告により、責任の法学的・メタ倫理的分析にとって有益かつ広範な視野が得られた。
本研究は、この「欺瞞的無知」から生じた行為にどのような責任を課すか、責任を帰属させる基準はどこにあるかという問題に対し、心の哲学における自己欺瞞の研究成果という「行為の動機の内的側面」と、行為を律する法および規範の「行為の動機の外的側面」の双方からアプローチし、行為者が無知である場合の責任の帰属基準を明確にすることで、いわれのない非難や刑罰の機会を少しでも減少させることを可能にする理論の構築を目指す。
1年目である本年度は、無知による行為の責任は意志の弱さと怠慢性に由来すると主張するギデオン・ローゼンの主張の是非を問う発表を日本科学哲学会において行った。また、研究協力者である吉良貴之氏とともに「法と哲学の責任研究会」を立ち上げ、吉良氏および若手研究者3名による報告により、責任の法学的・メタ倫理的分析にとって有益かつ広範な視野が得られた。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K00041
- 体系的課題番号 : JP21K00041
この研究課題の成果一覧
絞り込み
講演・口頭発表等
7-
日本科学哲学会第56回年次大会 2023年12月3日
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第5回 法と哲学の責任研究会 2023年11月19日
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科研費研究会 2023年6月25日 招待有り
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研究会 2023年3月19日 招待有り
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2022年度 哲学若手研究者フォーラム 2022年7月23日
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応用哲学会第十四回年次研究大会 2022年5月29日
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日本科学哲学会第54回大会 2021年11月27日