共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

欺瞞による無知の行為の有責可能性についての哲学と法学の融合的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K00041
体系的課題番号
JP21K00041
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

無知のもとで行われた悪しき行為はやむをえないこととして責任を追及されない場合があるが、それでも害をもたらしたものとして道徳的責任を問うことができる。他方、法的責任においては「法の不知はこれを許さず」という原則がある。行為の動機に関して無知である部分が見られる以上、「やむをえない」と「法の不知はこれを許さず」の中間的位置に属する責任のあり方が望ましいと考える。単に「知らない」といっても、本当に全く認識が存在しないことを意味することもあれば、本当は知る必要があったにもかかわらず真実から目をそむけた結果生じる「欺瞞的無知」もあり、この種の無知は先に挙げた「やむをえない」としてのみならず、「法の不知は許さず」の適用事例としても十分に取り扱うのが困難である。
本研究は、この「欺瞞的無知」から生じた行為にどのような責任を課すか、責任を帰属させる基準はどこにあるかという問題に対し、心の哲学における自己欺瞞の研究成果という「行為の動機の内的側面」と、行為を律する法および規範の「行為の動機の外的側面」の双方からアプローチし、行為者が無知である場合の責任の帰属基準を明確にすることで、いわれのない非難や刑罰の機会を少しでも減少させることを可能にする理論の構築を目指す。
1年目である本年度は、無知による行為の責任は意志の弱さと怠慢性に由来すると主張するギデオン・ローゼンの主張の是非を問う発表を日本科学哲学会において行った。また、研究協力者である吉良貴之氏とともに「法と哲学の責任研究会」を立ち上げ、吉良氏および若手研究者3名による報告により、責任の法学的・メタ倫理的分析にとって有益かつ広範な視野が得られた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K00041
ID情報
  • 課題番号 : 21K00041
  • 体系的課題番号 : JP21K00041

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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