論文

査読有り
2021年10月

分娩介助シミュレーション実習の取り組みと助産診断過程の学習効果

滋賀母性衛生学会誌
  • 土川 祥
  • ,
  • 舘下 麻美
  • ,
  • 井谷 芙雪
  • ,
  • 磯野 みなみ
  • ,
  • 宮武 美佳
  • ,
  • 中井 抄子
  • ,
  • 喜多 伸幸
  • ,
  • 立岡 弓子
  • ,
  • 花原 恭子

20-21
1
開始ページ
31
終了ページ
37
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
滋賀県母性衛生学会

滋賀医科大学医学部看護学科(以下、本学)助産師課程では例年5月から8月の約12週間で10例以上の分娩介助実習を行ってきた。今般、COVID-19の感染拡大により、2020年度の分娩介助実習は分娩期事例を作成し、臨床推論の教育技法を取り入れたシミュレーション実習にて5〜6例を代替した。そのため、シミュレーション実習に置き換えたことによる助産学生への教育効果について、例年の分娩介助を行う臨地実習と比較検証した。例年本学が使用してきた分娩介助技術評価表は助産診断項目13項目、助産ケア項目8項目、助産技術項目10項目で構成されている。今年度の学生9名、直近3年間の本学助産師学生25名の指導者評価の点数について、項目ごとの差異をノンパラメトリック検定(Kruskal-Wallis test、bonferroni法)にて実施した。その結果、助産診断項目では11/13項目、助産ケア項目では5/8項目、助産技術項目では8/10項目が例年後半の学生と有意な差は認めなかった。過半数以上の項目で例年後半の学生と有意な差を認めなかったことから、シミュレーション実習による学習効果が示唆された。内診所見や破水等モデルではリアル感の限界もあったが、教員間での学習目標について共通認識を深めること、複数のシミュレーターを活用すること、アクティブラーニングを実施してきた教員のスキルによる臨場感が演出されること、リフレクションの時間を持つことによる学習効果の向上が推察された。これにより学生の臨床推論能力の強化へつながり、臨地実習の代替案としてシミュレーション実習を実施しても、創意工夫をすることで例年と変わらない学修レベルの到達につながることが示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1880-2389
  • 医中誌Web ID : VA28410006

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