共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年9月 - 2023年3月

マイクロ流体デバイスと自己組織化による人工多細胞体モデルの構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)  学術変革領域研究(A)

課題番号
21H05890
体系的課題番号
JP21H05890
配分額
(総額)
5,200,000円
(直接経費)
4,000,000円
(間接経費)
1,200,000円

本研究では、人工細胞(リポソーム)の生成や配置を精密に制御可能なマイクロ流体工学および自然界における多細胞体形成を模擬した自己組織化原理の二つを利用し、分子通信機能を有する人工多細胞体を形成するためのプラットフォーム技術の構築を目的としている。
本年度はマイクロ流体デバイスを用いた均一サイズのリポソームの作製と分子透過性を有するリポソームの構築を行った。
マイクロ流路は、まずフォトリソグラフィーによってシリコンウエハ上にレジストをパターニングして鋳型を作製し、その鋳型の構造をポリジメチルシロキサン(PDMS)に転写して作製した。
リポソームの作製は、流路内で油中水滴(water-in-oil:W/O液滴)をW-O界面に通過させる方法を用いた。まず、フローフォーカシング法によってオイル中に均一サイズのリポソームの内液となるW/O液滴を作製した。マイクロ流路の中間部から外液を導入すると、脂質が配列したW-O層流界面が形成される。流路下流でマイクロ流路幅が小さくし、W-O層流のオイル層の幅も小さくするとW/O液滴がW-O界面に押し付けられ、W/O液滴がW-O層流界面を通過しW/O/W液滴が形成された。W/O/W液滴はdewetting現象によってオイル層が一カ所に凝集すると、脂質二重膜からなるリポソームが形成された。
このリポソーム作製における溶液や脂質の組成などの条件を検討後、分子透過性を有するリポソームの構築を試みた。リポソームの外液に、脂質二重膜上にナノポアを形成するα-hemolysinを添加すると、リポソーム内に封入した蛍光分子の流出に伴う内部の蛍光強度の低下が確認され、分子の透過が確認された。その他、リポソーム内外の溶液を糖によって浸透圧差を設け、脂質膜の半透膜性による水分子の透過の確認、無細胞タンパク合成系を用いたリポソーム内でのタンパク質合成の検討を行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-21H05890
ID情報
  • 課題番号 : 21H05890
  • 体系的課題番号 : JP21H05890