共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

曖昧性下における汚染物質削減投資に対するリアルオプション評価モデルの開発と応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K01573
体系的課題番号
JP21K01573
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

2021年度の主な研究成果として,辻村(2021)と吉岡・辻村(2021)について述べる。
まず,辻村(2021)は,企業はアウトプットの需要と資本価格に対する不確実性に直面しており,その下で需要に応じて資本ストックの規模を変更する問題を考察した。企業の資本投資の分析では,多くの場合,資本への投資費用は全額埋没費用である場合について考察している。これに対して,本研究は,資本を他の企業あるいは中古市場に売却ができる場合について考察した。すなわち,資本投資は完全に不可逆ではなく部分的に不可逆である場合を考察した。資本ストックの規模を変更する際には,資本の購入額あるいは売却額に加えて,資本の変更水準とは独立な費用を考慮した。投資規模とは独立した費用の定式化については,Abel and Eberly (1998)を参考とした。こうした事業環境下で,企業がいつ・どれだけ資本ストックの規模を変更すれば良いかについて考察した。
企業の問題は,確率インパルス制御問題として定式化され,準変分不等式を用いて問題を解くことができる。本研究では,準変分不等式を示し,最適な投資規模変更政策を特徴付ける6つの閾値を用いて,資本規模を拡張する領域,資本規模を縮小する領域,資本規模を変更しない領域を定めた。ただし,6つの閾値については数値計算によって求める必要があり,これについては残された課題である。
次に,吉岡と辻村は,環境管理の最適化に関わる諸問題に対して,離散的な観測と制御に着目して,アーラン化に基づく環境管理の理論構築を行った(未公刊)。アーラン化(Erlangization)とは,待ち時間の確率分布がアーラン分布に従う場合の数理モデリング手法を指す。吉岡・辻村(2021)は,アーラン化のアイデアを簡潔に説明した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K01573
ID情報
  • 課題番号 : 21K01573
  • 体系的課題番号 : JP21K01573