1991年7月
新川木綿と越中高岡綿問屋 : 福岡屋清右衛門家の繰綿取引き
富山大学紀要. 富大経済論集
- 巻
- 37
- 号
- 1
- 開始ページ
- 107
- 終了ページ
- 139
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.15099/00001683
- 出版者・発行元
- 富山大学
19世紀初頭から1880年代にかけ,新川地方(現在は富山県東部,廃藩置県以前は加賀藩領)は,全国でも有数の白木綿生産地帯であった。その製品は「新川木綿」と称され地域外に広範な販路を有していたが,非綿作地帯である新川地方は,原料繰綿の供給も地域外からの移入に依存していた。加賀藩領において,この繰綿流通の集散地となっていたのが越中射水郡下の商都、高岡である。筆者は,19世紀の新川木綿の流通・生産構造の検討を試みた別手品のなかで,主として岡本(福岡屋)清右衛門家所蔵史料(以下,岡本家文書と略記する)によってこの高岡を中心とした繰綿流通の分析を行なったが,福岡屋清右衛門家自体の繰綿取引きに関しては,その活動の一端を示すにとどまっていた。他方,岡本家文書には19世紀初から1880年代に至る福岡屋の「棚卸帳」類が含まれている。本稿では,福岡屋清右衛門家の繰綿取引き活動の実態を,この「棚卸帳」の記載から検討する事を課題としたい。福岡屋は随時高岡綿場の運営に関わっており,高岡綿問屋のなかでも中心的な存在であったとみることができる。同家の活動は,高岡における繰綿流通の有力な一事例を示すものと考えられよう。以下,第二章で「棚卸帳」の記載について検討を加えた上で,第三章において,帳簿から判明する綿取引きの実態をまとめることにする。
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- ID情報
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- DOI : 10.15099/00001683
- ISSN : 0286-3642
- CiNii Articles ID : 110000398490
- CiNii Books ID : AN00408391