論文

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2021年10月31日

日常生活の自明性によるクレイム申し立ての「予めの排除/抹消」――「性的指向」概念に適合しないセクシュアリティの語られ方に注目して

現代の社会病理
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  • 松浦 優

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開始ページ
67
終了ページ
83
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.50885/shabyo.36.0_67

日常生活の自明性によってクレイムが予め締め出される事態について、ジュディス・バトラーの「予めの排除」概念とアセクシュアルの「抹消」に関する議論をもとに考察する。事例として、架空のキャラクターへの性的惹かれに関わる造語「フィクトセクシュアル」をめぐるウェブ上の投稿を分析する。
当事者の一部からは、性的マジョリティを名指す概念として「対人性愛」という造語を用いることで、性的表現を愛好する立場から性愛規範や恋愛伴侶規範を批判するという投稿が見られた。他方、フィクトセクシュアル・カテゴリーの正当性を疑問視する投稿では、性的・恋愛的な対人関係に関わる生得的な「性的指向」ではないという理由が持ち出されていた。さらに、フィクトセクシュアルを「オタク」あるいは「恋愛」という枠組みに回収することによって、性に関する従来の解釈図式を維持する、という「マジョリティへの回収による抹消」が確認された。
キーワード:予めの排除/抹消、アイデンティティ、セクシュアリティ

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.50885/shabyo.36.0_67 本文へのリンクあり
共同研究・競争的資金等の研究課題
「現実の他者に性的魅力を感じない人々」の不可視化と抵抗に関する研究
URL
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shabyo/36/0/36_67/_article/-char/ja/ 本文へのリンクあり
ID情報
  • DOI : 10.50885/shabyo.36.0_67

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