2020年9月 - 2023年3月
卵巣癌における三次リンパ組織(TLS)の人工的誘導のための基礎的検討
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
卵巣癌を含む様々な癌腫において腫瘍内に浸潤するCD8陽性T細胞は予後を改善することが報告されてきた。近年様々な癌腫において、三次リンパ組織(TLS)の存在が予後と関連することが報告され注目されている。これまで腫瘍関連B細胞については、予後不良因子との報告も散見されるが、TLSと関連したB細胞の腫瘍内浸潤は、免疫チェックポイント阻害剤の奏功にも関連することが報告されている。
これまで、卵巣癌組織におけるTLSの存在は、CD8陽性T細胞のみならず、B細胞系統を含む様々な腫瘍浸潤リンパ球を増やすことを明らかにした。一方TLSの存在のみでは、卵巣癌の予後を改善しないことが分かった。しかしながら、2系統以上のリンパ球の浸潤は卵巣癌の予後を改善し、2系統以上のリンパ球の腫瘍内浸潤を可能にしているのがTLSの存在であることが分かった。また、TLSの発生に関わる重要なケモカインの一つであるCXCL13の遺伝子発現は、TLSの有無と相関するのみならず、腫瘍内の様々な腫瘍浸潤リンパ球数と相関し、卵巣癌の予後因子となることがわった。
マウス卵巣癌腹膜播種モデルにおいて、マウスリコンビナントCXCL13を腹腔内投与したところ、大網腫瘍内にKi-67 陽性のB細胞を中心としたTLS様構造を誘導でき、担癌マウスの生存期間を免疫を介して延長させることを見出した。CXCL13もしくはTLSの誘導は、腫瘍微小環境のリンパ球浸潤状態を変えうる卵巣癌のあたらな治療標的となる可能性を示唆する所見と考える。
これまで、卵巣癌組織におけるTLSの存在は、CD8陽性T細胞のみならず、B細胞系統を含む様々な腫瘍浸潤リンパ球を増やすことを明らかにした。一方TLSの存在のみでは、卵巣癌の予後を改善しないことが分かった。しかしながら、2系統以上のリンパ球の浸潤は卵巣癌の予後を改善し、2系統以上のリンパ球の腫瘍内浸潤を可能にしているのがTLSの存在であることが分かった。また、TLSの発生に関わる重要なケモカインの一つであるCXCL13の遺伝子発現は、TLSの有無と相関するのみならず、腫瘍内の様々な腫瘍浸潤リンパ球数と相関し、卵巣癌の予後因子となることがわった。
マウス卵巣癌腹膜播種モデルにおいて、マウスリコンビナントCXCL13を腹腔内投与したところ、大網腫瘍内にKi-67 陽性のB細胞を中心としたTLS様構造を誘導でき、担癌マウスの生存期間を免疫を介して延長させることを見出した。CXCL13もしくはTLSの誘導は、腫瘍微小環境のリンパ球浸潤状態を変えうる卵巣癌のあたらな治療標的となる可能性を示唆する所見と考える。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K22810
- 体系的課題番号 : JP20K22810