論文

2017年

身体活動量増加の動機づけに効果的なインセンティブプログラム:コンジョイント分析

日本公衆衛生雑誌
  • 松下 宗洋
  • ,
  • 原田 和弘
  • ,
  • 荒尾 孝

64
4
開始ページ
197
終了ページ
206
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11236/jph.64.4_197
出版者・発行元
日本公衆衛生学会

<p><b>目的</b> 身体活動の促進は,公衆衛生上の重要課題の1つである。身体活動を促進する方策の1つとして,インセンティブを活用することに注目が集まっている。インセンティブをより有効に活用するためには,身体活動の促進に最も効果的なインセンティブの付与条件を明らかにする必要がある。そこで本研究は,身体活動量増加の動機づけに効果的なインセンティブ付与条件をコンジョイント分析で検討した。</p><p><b>方法</b> 本研究の解析対象者は,40~74歳の男女1,998人であった。主な調査項目は,身体活動量(IPAQ短縮版),11種の仮想インセンティブプログラムに対する動機強化得点であった。仮想インセンティブプログラムの構成要因は,1)現金相当額(1,000円・2,000円・3,000円),2)特典獲得までに身体活動を増やす期間(1か月・2か月・3か月),3)身体活動の記録方法(専用用紙・専用ホームページ・歩数計による自動記録),4)抽選(抽選なし・抽選あり)を各要因から1つの水準を組み合わせ,これらの要因数および水準数における比較の場合に必要となる最小数である11種の仮想インセンティブプログラムが作成された。身体活動量増加の動機付け効果を要因間で比較するために,各要因の平均相当重要度を算出した。各要因における水準間の身体活動量増加の動機付けを比較するために,部分効用値を算出した。統計解析は年代(成人・高齢者)および身体活動状況(週150分未満・週150分以上)に層別し行った。</p><p><b>結果</b> インセンティブ条件の平均相対重要度は,すべての群において抽選および現金相当額が同程度であり,以下,期間,記録の順であった。インセンティブ条件の各要因における部分効用値は,現金相当額は高額なほど,抽選は抽選なし,期間は短いほど,記録方法は歩数計による自動記録であることが高値を示した。平均相対重要度および部分効用値においては,年代や身体活動状況による顕著な違いは認められなかった。</p><p><b>結論</b> 本研究により,身体活動量増加の動機づけには,インセンティブの条件として,抽選を行わず全員に付与することと,より高額の現金相当額を付与することが重要であると示唆された。また,これら2つの条件は,対象集団の年代や身体活動実施状況によらず重要である可能性も示された。今後は介入研究により,本研究結果に基づいたインセンティブプログラムの身体活動量増加の効果検証が必要である。</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11236/jph.64.4_197
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005634035
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00189323
ID情報
  • DOI : 10.11236/jph.64.4_197
  • ISSN : 0546-1766
  • CiNii Articles ID : 130005634035
  • CiNii Books ID : AN00189323
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000350648936

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