共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

閉口筋筋紡錘感覚の視床髄板内核群への伝達とトゥレット症候群治療機序との関連

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K09888
体系的課題番号
JP20K09888
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

令和2年度の研究では、閉口筋筋紡錘感覚が入力することから同定した三叉神経上核が反対側の視床後内側腹側核尾腹内側縁への強い投射に加え、反対側優位で両側性に視床の髄板内核群内のoval paracentral nucleus(OPC)に投射することが明らかになった。そこで、令和3年度は、この三叉神経上核-OPC路が閉口筋筋紡錘感覚を伝達することと、その投射様態の詳細の解明をめざした。ラットの脳アトラスを参考にして、OPCを狙って刺入したガラス管微小電極から、咬筋神経の電気刺激と受動的で持続的な開口に対する応答を記録できた部位にHRPを電気泳動にて注入して、記録部位をマーキングした。組織切片を作成したところ、記録部位はOPCであった。以上は、三叉神経上核-OPC路が閉口筋筋紡錘感覚を伝達することを示唆している。さらに、三叉神経上核-OPC路の起始細胞を調べるため、上記と同様に電気生理学的にOPCを同定し、その中に逆行性神経回路トレーサーであるCTbまたはFGを充填したガラス管微小電極を刺入し、CTbまたはFGを注入した。5日後に脳を摘出して連続冠状断切片を作成し、CTb抗体またはFG抗体を用いた免疫組織反応にて標識細胞体を可視化した。その結果、OPCに投射するニューロンが、反対側優位で両側性に三叉神経上核に少数認められた。以上によって、三叉神経上核-OPC路が確かに存在することが確認できた。令和3年度の研究によって、トゥレット症候群患者の症状を抑制することが報告された歯科スプリントの咬合で賦活される閉口筋筋紡錘感覚が、視床の髄板内核群で、ラットのOPCに相当する部位に伝達されている可能性が高いことがますます強く示唆できた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K09888
ID情報
  • 課題番号 : 20K09888
  • 体系的課題番号 : JP20K09888