中高齢者における動的姿勢制御能力と腹部断面積との関連性について検討した。定期的に運動を実施している中高齢者31例(男性12名、女性19名)を対象とした。BMIの平均値が男女ともに25を超え、疾患を持っている対象者も含まれた。運動習慣については全ての項目で性差はみられなかった。動的姿勢制御能力は女性のほうが有意に優れていた。腹部の断面積比では、内臓脂肪は男性が有意に大きく、皮下脂肪は女性が有意に大きかった。大腰筋、腹斜筋、腹直筋、脊柱起立筋の全てで男性が有意に大きかった。総角度変動指数と有意な相関がみられたのは内臓脂肪だけであった。ステップワイズ法を用いた重回帰分析で変動インフレーション因子を算出し、独立変数間の多重共線性が存在しないことを確認した。AIC基準を用いて独立変数の絞り込みを行い、性別、内臓脂肪、大腰筋の三つの独立変数が抽出された。