共同研究・競争的資金等の研究課題

1997年 - 1998年

化石骨含有コラーゲンに対する続成作用とその炭素同位体比への影響に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)  奨励研究(A)

課題番号
09740652
体系的課題番号
JP09740652
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,000,000円
(直接経費)
2,000,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

本研究では、炭素・窒素同位体比の測定における骨含有コラーゲンの抽出精製法に関して検討した。昨年度の分析結果では、ロシア・ピョートル大帝時代のボイスマン2遺跡出土の人骨試料の場合、ゼラチン分画のみならず、抽出分画と残査も、C/N比が約3.2で炭素含有率が40%以上というコラーゲンの判断基準を満たしていることが明らかになった。しかし、この遺跡では、主なタンパク資源がC3植物と海獣であったため、炭素同位体比と窒素同位体比に相関が認められた。この相関が保存されていたのはゼラチン分画のみである。そこで本年度は、同一遺跡集団内における炭素・窒素同位体比の相関関係という視点からコラーゲンの保存状態および続成作用のプロセスについて検討した。
分析に供した試料は以下のとおりである。縄文時代中期:向台(8)、弥生時代(1)大境(4)、瓜郷(1)、岩津保(5)、安房神社(5)、大浦山(5)、アバチク洞窟(1)、里浜(3)。
縄文時代に属する向台貝塚では、ボイスマン2遺跡同様に炭素・窒素同位体比に強い相関がみられた。この場合もC3植物と海産物の間での変動であるが、ボイスマン2遺跡に比べると明らかに植物よりの分布であった。一方、弥生時代の試料では、大浦山遺跡と安房神社遺跡の2集団では有意な相関が見られたが、他の遺跡ではそのような相関は認められなかった。
現状では限られた分布例のため、今後の検討が引き続き必要となるが、沿岸に立地した遺跡の場合、植物と海産物の両方をタンパク質源として用いる例が一般的であり、両者の相関がコラーゲン保存状態のパラメータになる可能性がある。今後、人骨と木炭の放射性炭素年代の比較などを考慮して検討を続けたい。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/09740652.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-09740652
ID情報
  • 課題番号 : 09740652
  • 体系的課題番号 : JP09740652