基本情報

所属
神奈川県立こども医療センター アレルギー科
学位
学士(医学)(北里大学)

J-GLOBAL ID
202301013562314531
researchmap会員ID
R000059207

 研究者は増加するアレルギー疾患の中でも、食物アレルギに対して、安全に寛解を誘導する方法を探索し、food ladderを用いた臨床研究を行っている

【研究テーマ:低アレルゲン食によるアレルギー寛解誘導】

<乳アレルギー児の現状>

 牛乳は食物アレルギーの原因食物として多く、日本の食物アレルギーの原因食物として鶏卵に次ぐ2番目の頻度である。食事から牛乳を排除する除去食対応は栄養面だけでなく生活の質も低下させる(Indinnimeo L, et al. BMC Pediatr. 2013)。

 <経口免疫療法>

 食物アレルギーに対して、原因食物を摂取しながら治癒を誘導する経口免疫療法(oral immunotherapy; OIT)の有用性が報告されてきている。牛乳OITのメタ分析では、牛乳OITは牛乳に対する完全耐性を発現する可能性を10倍、部分耐性を発現する可能性を5倍増加させた。一方で、OITを受けている小児では、除去食単独と比較してアレルギー症状の誘発のリスクが34倍高かった(Brożek JL, et al. Clin Exp Allergy 2012)。OITには安全性の確保という課題が残されている。

<低アレルゲン経口免疫療法>

OIT中の副反応を減らす試みが多く施行されてきている。少量経口免疫療法、舌下経口免疫療法、軽度加水分解乳を用いた低アレルゲン経口免疫療法の臨床研究(Inuo C, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2018)などが試みられてきた。

<milk ladderを用いた食事指導>

 近年、経口免疫療法における副反応の軽減策として、オーブン等で強く加熱しアレルゲン性を低下させたパンやビスケットなどの乳製品(baked milk: BM)の低アレルゲン性が注目されている。当院でも130症例に少量BMを摂取する経口負荷試験の結果を検討し、92%は症状なく摂取可能であることを確認している(図2)。

 少量のBM摂取から始め、徐々に、乳含有食品の摂取量と種類を増やしていくmilk ladderという食事指導方法(以下、milk ladder法) が提唱されている。当施設では倫理委員会の承認を得て、2018年よりmilk ladder法を導入している (図1)。研究者は、2歳以下の牛乳アレルギー児を対象に、従来の牛乳そのものを少量から摂取していく食事指導方法に比べて、milk ladder法が早期から乳含有加工食品の摂取を可能にすることを報告した (Matsumoto Y, et al. Clin Transl Allergy 2024; 図3)。

図3. 食事指導の方法と牛乳アレルギー寛解(先行研究)
A.   牛乳アレルギーの持続率 B. 乳含有の加工食品も摂取していない完全除去食継続率
milk ladderを利用した食事指導の方が早くから、完全除去食対応を脱し、乳含有の加工食品について自由に摂取することができるようになった。

 

 現在は、milk ladderの有効性・安全性の向上するために、プロトコール改善・適応患者の選択手法に取り組んでいる。


論文

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講演・口頭発表等

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