共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

骨髄増殖性腫瘍の治療標的分子の探索

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究
  • 増渕 菜弥

課題番号
18K16098
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(MPN)は、造血幹・前駆細胞に体細胞変異が生じ、血球の異常増加や骨髄の線維化を呈する造血器腫瘍である。MPN患者は、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが高く、時に急性白血病へと病型移行する。造血幹細胞移植以外には根本的な治療法が無い上に、高齢の発症者が多いことなどから、移植適応症例は僅かであり、発症メカニズムの解明による有効な治療戦略の確立が求められている。これまでに我々は、世界に先駆けて、MPN患者の一部に共通して見出されるCalreticulin (CALR)変異遺伝子産物がトロンボポエチン受容体のMPLを恒常的に活性化し、MPNを発症させることを明らかにしている。そこで、本研究では、変異型CALRによるMPLの活性化機構を明らかにし、MPNに対する新規の治療標的分子を同定する。本年度は、CALRが本来有している分子シャペロンとしての機能に着目し、基質分子の認識の際に重要であるN型糖鎖認識能が、MPLとの結合や活性化に必要であるか検討を行った。その結果、変異型CALRは、N型糖鎖認識能の有無にかかわらず、細胞内のゴルジ体に強い発現がみられたが、N型糖鎖認識能を喪失した変異型CALRはMPLと結合せず、腫瘍原性も消失していた。これらのことから、変異型CALRは、N型糖鎖を介してMPLと結合し、細胞の腫瘍化を引き起こしていることが明らかになった。