2019年8月
多職種チームにおける公認心理師への期待と課題 社会福祉実践現場を支えるために公認心理師に期待されることとは
こころの健康
- 巻
- 34
- 号
- 1
- 開始ページ
- 59
- 終了ページ
- 67
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本精神衛生学会
「福祉」とはすなわち「生活支援」のことですから、さまざまな生活上の困難を抱えた人への支援領域といえば大変幅広いことになります。実際、社会福祉士の国家試験のための指定科目には「高齢者」「障害者」「児童や家庭」「低所得者支援」「保健医療サービス関連」「就労支援」「権利擁護と成年後見」「更生保護」等多岐に渡る領域が挙げられています。そして、これら以外にも、例えばジェンダー関連の福祉、災害ソーシャルワーク、ひきこもり支援、家族福祉といったまだまだ発展途上の領域もあります。それぞれ領域ごとの特性があり、なかなか一概に語ることは難しいです。また福祉領域の課題として、現場従事者は必ずしも「専門職」ではないという点も挙げられます。国の様々な福祉制度では「社会福祉士や精神保健福祉士の資格保持」は必須条件にはなっていないため、「就労支援員」「ケースワーカー」「生活相談員」等の職務についていても、大学の教養科目で「経済学・教育学・心理学」等の三科目を履修して「社会福祉主事」の任用資格を満たしているだけ、ということもあります。また民生委員児童委員や保護司のように、篤志のボランティアにより支えられている制度もあります。福祉現場の従事者だからと言って、ソーシャルワークの専門知識を持っているとは限らないのです。私自身は社会福祉士養成校の教員として「相談援助」に関する科目を担当しているため、各領域別の詳細について詳しいわけではありません。ここでは統計資料などを活用し、公認心理師が多職種連携を進める上で、福祉領域についての理解の一助になるような情報提供を行っていきたいと思います。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0912-6945
- 医中誌Web ID : 2019354914